有機(オーガニック)と有機JASのはなし




<オーガニックの基礎知識 Q&A>
カタログマガジン『Organictown』
2005年版/P22-26より抜粋

有機JASマーク有機JASマーク

野菜画像3

なす画像


野菜料理画像

日本オーガニック検査員協会理事

水野葉子さんにお聞きしました


●有機(オーガニック)の定義

ひと口に言ってしまえば、有機農業とは農薬や化学肥料に頼らない農業のこと。その根底には、自然の持つ力を生かし、環境との調和を大切にして作物を育てようという姿勢があります。
とはいえ、日本ではつい最近まで有機に関する公的な基準がなく、ほんの一部に有機肥料を使っているという程度でも有機を名乗り放題 という時代が続いていました。有機は基本的に無農薬無化学肥料が原則なのに、有機低農薬などという表示もまかり通っていたのです。
しかし2001年4月から、JAS(日本農林規格)の中に有機認証制度が導入され、信頼性は格段に高まりました。
この制度では、化学合成農薬・肥料ともに2年以上(果樹や茶などの多年生作物の場合は3年以上)使用していない土地で栽培されたものにのみ、有機JASマークをつけることができます。そして、有機JASマークがなければ、パッケージや商品名に「オーガニック」や 「有機」を名乗ることはできません。もちろん、有機JASの基準では、遺伝子組み換えや放射線の照射も許されていません。
ちなみに有機の認定では、どう育ってきたかが明らかな「トレーサビリティ」(出所追跡)がたいへん重要です。

●有機食品って信頼できるの?

かなり信頼度の高いものであるといえます。それは、第三者機関による検査認証が義務づけられているからです。
有機JASマークを表示して「オーガニック」や「有機」を名乗るには、農林水産省に登録されている認定機関による検査認定を受けな ければなりません。認定は書類の審査と、実際に検査員が現地におもむいてチェックする実地検査とで行われます。
また、この厳しい検査を経て首尾良く認定されたらそれですべてOKというわけではなく、最低1年に1度は監査を受けなければいけないことになっています。
ただし、有機JAS認定は生産者の求めに応じて行われるもの。小規模な生産者にとって認定を取るのは大仕事ですから、有機の生産者 すべてが認定をとっているわけではありません。そもそも、有機農産物や加工食品の売買は、消費者が生産者から直接購入する形で始まりました。
そういう「顔が見える」信頼関係がベースにある場合なら、第三者認証に頼る必要はなく、「わざわざ有機JASを取らなくても 」という生産者がいても不思議ではないわけです。しかし、現在では店やスーパーでの取り扱いも増えてきています。店頭で買うような場 合には、有機JASマークが商品選びの鍵として大いに役立ってくれるはずです。

●加工食品にも、有機はある? 乳製品には?

たとえば納豆や漬物といった農産物の加工品の場合は、水と塩を除いた農産物および農産物加工食品原料のうち、有機以外のものが5% 以下のものだけが有機農産物加工食品として認められ、有機JASマークを表示することができます。
この有機農産物加工食品では、添加 物についても細かな規定があり、有機の規格に合った一部のものしか使えません。また、遺伝子組み換え作物については、安全性が確認で きていないため、有機農産物加工食品の原料には一切使用は認められていません。
目下のところ、有機JAS認定をとらないと有機やオーガニックの表示ができないものは、農産物と農産物の加工品だけです。牛乳やチ ーズ、バターといった乳製品、卵や肉、魚介類やその加工品は対象外。ですから、有機ポークとかオーガニック卵などと表示するのは自由で、信頼できるかどうかは、私たち個人個人で判断するしかありません。また、お酒やみりんは管轄が農水省ではなく国税庁。そのため、 有機JASマークはつきませんが、有機JAS同様の厳しい基準が定められていて、クリアした品だけが「有機農産物加工酒類」として「 有機」や「オーガニック」の表示ができることになっています。

●「無農薬」「減農薬」「特別栽培農産物」って?

現在では、無農薬や減農薬、無化学肥料や減化学肥料といった表示は許されていません。
代わりに、農林水産省の「特別栽培農産物」ガイドラインに基づいて、農薬と化学肥料両方をその地方の平均的な使用量の半分以下に抑えて栽培した作物には、「特別栽培農産物」の表 示をすることができるようになっています。
ただし、有機JASのように第三者が認定するわけではありませんから、信頼できるかどうかは生産者次第。
また、無農薬や無化学肥料をうたったからといって罰則があるわけではありません。
もしそうした品を店頭で見かけたら、それは不確かな品か、不勉強な生産者が表 示した品、ということになります。

●輸入品のオーガニック表示は?

日本の有機JAS制度は、外国からの輸入品も対象になっています。輸入品であっても、農産物や農産物加工食品は有機JAS認定を受 けていない限り、「オーガニック」の表示はできません。
その場合にはなんと「オーガニック」の表示を消すか、表示のないものにパッケ ージし直さなければならず、なかなか厳しく規制されています。
では、どうすれば有機JASの認定が受けられるのでしょうか。
有機JASと同等かそれ以上の有機規格を設けているEU、アメリカ、 オーストラリア(同等国といいます)で有機と認められている品を、有機JASの認定を受けている業者が輸入すればOK。「オーガニッ ク」も名乗れますし、マークを表示することもできます。もうひとつ、現地に有機JASの検査員が検査に行き直接有機JASの認定をと るという方法もあります。同等国以外の国では、この方法をとるしかなく、有機JAS認定はかなりの大仕事になります。
ちなみに、もしも外国に行く機会があって現地で買い物をする場合、この同等国やニュージーランドなどの製品であれば、オーガニック の表示は十分信用できます。パッケージのORGANICの文字を確認してどうぞ安心してご購入を。