幼年童話

きつねの子が、丸木橋のたもとで、まだ新しい黄色のバケツを見つけたのは、月曜日のことでした。
うさぎの子とくまの子に見せに行くと、バケツを下げた感じがよく似合うとほめられれます。
もし、一週間たっても持ち主が取りに来なければ、自分のものにしようと決めたきつねの子。
「げつようびには、ぼくのもの」とたのしみにしながら、毎日バケツの様子を見に行っては、それを使っている自分を想像します。
そして、次の月曜日。
バケツは結局、きつねの子のものにはなりませんでした。
でも、「もう いいんだ。」と言うきつねの子の顔は、とてもすがすがしくて……。
とっておきのもの、たいせつなものへの思いが、胸に沁みます。

花屋さんをしているこまったさん。
今日は、夫のヤマさんが友だちを連れてくるので、ご馳走を作ろうと張り切ってスーパーにお買い物へ。
「カレーなんて、そんなかんたんなものつくらないわ」と言いながらも、かごに入れているのは、じゃがいも、人参、玉ねぎ、そしてカレー・ルー……。
さて、こまった！ これでは、カレーをつくるしかありません！
おなじみこまったさんの「おはなしりょうりきょうしつ」シリーズの２作目は、具材によっても様ざまなアレンジを楽しむことができるカレーがテーマ。
きっと今晩、カレーが食べたくなりますよ。

漁に出て森の中で迷い、お腹をすかせた二人の紳士。
一軒の西洋料理店「山猫軒」を見つけます。
「どなたもどうかお入りください」。扉を開けると、さらに扉が……。
奇妙な注文を次々に出され、あやしく思った紳士は、お店を出ようとしますが……。

和田誠さんの絵が、「山猫軒」の空気を、そしてこの不思議な料理店からの無茶な注文と、それに翻弄される紳士たちの姿を見事に描ききっています。
賢治の代表作の一つ、改めて味わってみませんか？