かこさとしさんインタビュー


子どもたちの大人気『からすのパンやさん』は1973年刊行、三世代にわたり読み継がれている人気絵本。
40周年にあたる2013年に、この絵本の「つづきのおはなし」4巻が刊行された際のインタビューです。


かこさんの書斎にて


―続編を出されたいきさつをお聞かせください。

『からすのパンやさん』が出て1、2年経ったころにはもう、続編のことを考えはじめていました。ただ、どこを気に入って読んでもらって いるのかがわからないうちは怖くてね(笑)。お手紙なり、いろんな反応なりを、長いこと見させてもらっていました。
 すると、子どもさんたちは、自分のしたい行動をからすが代行してくれるところを気に入っているのだとわかりました。 子どもさんは成長していくわけですから、続編でも、からすが大きくなっていくところを描こうと思いました。 伸びていくためには、食べることが第一です。おかしも野菜も食べる。じゃあ、いろんな食べものを4羽に分担してもらおうと思ったんです。



―それぞれのお話に込められた思いとは。

 4羽の子どもたちが各巻の主人公になっていますが、それぞれ少しずつ変化をつけています。たとえば、『からすのやおやさん』は、 リンゴちゃんが、野菜を売るために、買う側のこころを考えながら工夫していく。ぼくが会社に勤めていた頃、経済の怖さっていうのを いやというほど知ったものですから、これから生きていくのに、経済というものが必要になってくるよ、ということをちょっと織り込んだんです。
 『からすのてんぷらやさん』では、火事で店を失ってしまった天ぷら屋さんの親子を、レモンちゃんが手伝います。 災害を経てまた復興するというテーマは、今の時代とも一致しています。実はぼくは戦災にあっていまして、家を焼け出された日に 一晩泊めてくださった方がいたんです。そのとき、くるしい状況のときこそ手を差し伸べられる、力を出せるひとでないといかんなあ、と教えられた。 その恩返しでもあるんです。
 それぞれのお話に違いはありながら、4冊に貫いているのは、「たすけあい」。それと、子どもさんにはピンとこないかもしれないけど、 仕事という大切なことをやっているおとながいるんだということを、知ってもらいたいという思いもあります。


―『どろぼうがっこう』の続編も今秋刊行されるそうですね。

 一作目でどろぼうたちが牢屋に入れられてしまったものですから、脱獄させなくちゃ、ってことで、さまざまな脱獄の歴史を調べたんですよ。 どんなスマートな脱獄手段を取らせようかと思って構想を練っていたけど、子どもたちのお手本になっちゃ大変、ということで(笑)、 お手本にならない展開を考えたんです。
 『どろぼうがっこう』は、もともとは子どもたちのために手描きした紙芝居でした。たまたま墨しかなかったんで、 バーッと墨で走り描きしたものだったんですが、これが圧倒的に人気でね。「子どもというのは、黄色や赤のインクをベタっと塗ったような 派手な色でないと色彩的にわからないんだ。どんなに内容がよくても子どもはついてこないんだ」というのがそれまでの、 ぼくが紙芝居を描いていたころの半分定説でした。だけど、「墨だけでも内容がよけりゃオーケーだ、内容のよくないものを黄色や赤で 化粧してもダメだよ」という、きちんとした審美眼があるのが子どもなんです。


―絵本を描くということとは。

 子どもさんは、気に入ったものはものすごく細かく見る。そこから自分のプラスになるものを全部いただこうと思っている。 それが伸びていく力なのだと思うので、そこにつくり手は応えていかなきゃいけないと思って描いています。
 また、子ども時代に読んだり聞いたりしたことは、20年後に役立つと思っています。ですから、そのときに「間違っていたじゃないか」 なんて言われないように、20年先の将来性を透視していかなければいけないと思っています。
(写真/宮津かなえ)





おとうさんとおかあさんが出かけている間、パン屋の店番をまかされたからすの子どもたち。パンの材料をつかってちがうものをつくってみたら、 焼き菓子ができあがりました。そのお菓子がお客さんの評判を呼んで……。

                        『からすのおかしやさん
                         かこさとし/作・絵 偕成社/刊
                          1,188円(税込)






リンゴちゃんは、お友だちのいとこのシンちゃんとそのおかあさんがはじめたやおやさんを手伝うことにします。「ひとつは3えん ふたつは5えん」など、野菜をたくさん売るための工夫を、あれこれ考えだしていきます。

                        『からすのやおやさん
                         かこさとし/作・絵 偕成社/刊
                         1,188円(税込)







火事でてんぷら屋さんのお店が焼けてしまい、レモンちゃんはお店の再開を手伝うことになりました。えび天とえびフライのつくり方のちがいなど、あげもののつくり方をいちからおそわりながら、天ぷらづくりの修業がはじまります。

                        『からすのてんぷらやさん
                         かこさとし/作・絵 偕成社/刊
                         1,188円(税込)






白い花が咲いたそば畑を見つけたオモチくんは、そばのつくり方をおそわり、そばやを開きます。もりそば、かけそば、ちからそば。さらには、うどんや、ラーメンと、メニューがどんどん増えていき……。

                        『からすのそばやさん
                         かこさとし/作・絵 偕成社/刊
                         1,188円(税込)

かこさとしさんのおはなしの本・紙芝居 ≫もっと見る

からすのおかしやさん
価格 1,188円(税込)
からすのやおやさん
価格 1,188円(税込)
からすのてんぷらやさん
価格 1,188円(税込)
からすのそばやさん
価格 1,188円(税込)
★レビューに注目
からすのパンやさん
価格 1,080円(税込)

かこさとしさんのかがくの本 ≫もっと見る

かこさとしさんのあそび・行事の本 ≫もっと見る

かこさとしさんの絵本グッズ



●絵本作家フィーチャー バックナンバー

柚木沙弥郎さん

佐藤 さとるさん

長 新太さん