この世は生きる価値がある

人間の世界にあこがれつづけ、あの世をぬけ出して、現世の男の子の体を乗っ取った「魂」。
見るもの触れるものすべてに新鮮な驚きと感動を覚えながら、中学生男子の高梨天山（たかなしてんざん）としての生活に徐々になじんでいきます。
が、天山の父親が抱える葛藤、クラスメートの悩みなどに接するうちに、複雑な感情がこころのなかに生まれていきます……。
ファンタジックな設定とは裏腹に、等身大の人間模様が瑞々しく描かれています。
『杉森くんを殺すには』で、野間児童文芸賞を受賞した、注目の児童文学作家、長谷川まりるさんによる作品。