中原恵峰


中原恵峰(なかはらけいほう) Profile

1938年長崎県北高来郡(現在の諫早市)高来町生まれ。1954年、15歳の時より初代小森恵雲氏の元で5年間の修業を経た後、1975年に独立し、中原恵峰工房を開く。
『佐賀県重要無形文化財面浮立』の面師として、各地区の浮立面制作に携わる。 伝統的工芸品産業大賞/作り手部門功労賞受賞(平成24年度)

「浮立面」とは、鬼の面を被って笛や太鼓のリズムに合わせて踊る、佐賀県の南西部に伝わる伝統芸能「面浮立」で使われる面のこと。五穀豊穣祈願や雨乞祈願など、古くから奉納神事に欠かせないものでした。
面の構図を考え、直方体に切り取った大きな木材に図面を引く。舌と鼻の形作りをしたら、次に眉と目の線を荒彫りし、最後に面全体をきめ細やかに仕上げ彫り。
使用する道具は5種でも大小さまざまで、全て合わせると数十はある。のみと木づちを巧みに動かし、力強さの中に繊細な表現を可能にしている。
一見、豪快に彫っているように見えて、一彫りひと彫り手先に意識を集中している。全く形がないところからはじめる「荒彫り」と言われる段階が一番神経を使うそう。

木彫の素材・クスノキも厳選されたもの。
樹齢120年前後クスノキは、佐賀県の県木でもあり、木目がきれいなのが特徴。クスノキは、木を切り倒す時期もよく考えられています。木に新芽が出る頃は、木に水分が上がってきており、水分量の多い時期。12月-2月の初めに伐採した材料は、いわば木材が冬眠した時期で、切り口がカラリと乾燥しています。そのまま3年ほど自然乾燥させて、製材してさらに乾燥させています。材料の段階から、かなり手間ひまかけているのです。
「選び抜いたものから自分が手を加え、新たに良いものが生まれた時は子供と同じように想う。良いものを作り、お客様が満足を得られた時に作り手としての喜びを感じる。」と語る恵峰さん。

(一部、一般財団法人鹿島市民立生涯学習・文化振興財団/中原恵峰展ギャラリートークより編集)

浮立面うるし 雌雄(標準と小)

めで鯛