
【講演会レポート】鈴木まもるさん(絵本作家、画家、鳥の巣研究家)/子どもの本の学校 34期

1991年5月よりスタートした、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」連続講座は、2024年で34期を迎えました。
子どもの本の専門店として、作家と読者が出会う場所をつくりたいとの思いが出発点。
“子ども”をキーワードに、子どもについて、子どもの本について、子どもをとりまく大人の世界について、ご一緒に楽しみながら考えていきたいと思います。
2025年2月の講師は、鈴木まもるさん
鈴木まもるさんは……
東京生まれ。現在は静岡・伊豆に自然に囲まれた自宅兼アトリエを構えている。幅広い分野の絵本を手がけ、あかちゃん絵本、鳥の絵本、乗りもの絵本、恐竜絵本などそれぞれ人気が高い。児童文学作家で妻の竹下文子さんが文を手がけた絵本も多数。鳥の巣研究家としても知られる。近年では、星野道夫さんの1枚の写真から生まれた『あるヘラジカの物語』(あすなろ書房)、かこさとしさんから指名された『みずとはなんじゃ?』(小峰書店)、手塚治虫さんの想いを伝える『火の鳥 いのちの物語』(金の星社)なども手がけ、それぞれのファンをつなぐ架け橋となっている。
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鈴木まもるさん、
第3回やなせたかし文化賞
受賞おめでとうございます!
2025年2月6日(やなせたかしさんの106回目のお誕生日)に、鈴木まもるさんが「第3回やなせたかし文化賞」を受賞されました。「平和」と「命」を伝える絵本を描き続けてきたことが、受賞の決め手となったようです。 -
講演会当日、子どもの本売り場の鏡より、花束をお渡ししました♪
詳しく知りたい方は、「やなせたかし文化賞」公式HPへ!
講演会タイトル「絵本『火の鳥』と鳥の巣の不思議」
鈴木まもるさんがNHKラジオで「昔から手塚治虫先生のファンだった」と話したのを、たまたま手塚プロダクションの方が聞いたのがきっかけになったと言う、絵本『火の鳥 いのちの物語』(手塚治虫/原作 金の星社)。
「絵本は32Pしかないので、物語の一部を切り取って描いたり、物語をつぎはぎしてまとめるなんてことはムリですし、往年のファンも納得しないでしょう。そこで、ぼくはやっぱり鳥の巣を研究してきたので、火の鳥が巣にいるところを描いてみることにしました。描いてみたら、ここから広げていけばいいんだと思えて、そこから描き進めることができました。
手塚先生が描いた火の鳥の巣は、実際の鳥の巣の研究をしてきたぼくから見ても納得できるものでした。どんな鳥の巣も、どうしてこんな巣になるかは、鳥の行動を考えたらわかるものです。寒いところだから暖かい巣にする、羊が住んでいるところなら羊の毛を使う、敵が空から来るかもしれないから360度まんまるな巣にする……。かたちや材料や場所が違っても、卵とヒナを守りたい気持ちはどんな親も一緒です。
鳥は、鳥の巣のつくり方を習うわけではなく、みんな本能で知っているんです。ぼくは動物である人間も、そういう本能があると思っています。子育てをするための知識や情報が多すぎて、かえってわからなくなって、子育てに悩む親御さんもいると思うのですが、大丈夫ですからね。あなたは絶対に、お子さんを育てられます。子どもを育てるための本能は、みなさん誰もがもっているので、あなたとお子さんが元気に過ごせる生き方を選ぶのがいいと思います。お子さんだけじゃなく、大人のみなさんも、元気にたのしく、みなさんなりの生き方をしてほしいなと思います」(まもるさん)
まもるさんは「おかあさんのお腹の中にいたときにいちばん近い位置だから、おかあさんが抱っこして絵本を読んであげると、お子さんは落ち着きます」とも。まもるさんが、子どもたちにこの世界のたのしさを伝えようと、さまざまなジャンルで描いた絵本を、ぜひ一緒にたのしんでくださいね。

ファンの名は伊達ではなく、講演には当時の雑誌や、雑誌の切り抜きをまとめた冊子(写真のいちばん上は雑誌そのもの、その下はすべてまもるさんが自分で切り抜きをまとめて製本した冊子!)も持ってきてくれました。「『火の鳥』は壮大でおもしろいけれど、その分むずかしいので、絵本にしたら子どもたちにもわかるかも」とまもるさんが言ったのをきっかけに、絵本製作が決まったとのことです。
講演で紹介された本の一部をご紹介
講演会後はサイン会開催! オンライン参加者には限定サインカードの特典も


講演会終了後にはサイン会を開催。間近でお話ししながら直筆サインを入れていただける貴重な機会です!
オンライン視聴の方は、対象書籍ご購入で、描き下ろしの特別サインカードをプレゼント!
鈴木まもるさんの講演会に参加されたお客さまの声をご紹介!
・鈴木さんが子どもたちとコミュニケーションをとりながらお話して下さる姿に癒された時間でした。すべての動物やあかちゃんがすきだとおっしゃっていた通り、友だちのように子どもたちに語りかけているのを見て、鈴木さんのひと柄がすきだなぁなんて思っていました。(女性・高知)
・お話をお聞きしていると、人間もふくめて、動物さんも、鳥さん、虫さんたちも、地球上の生き物はみーんな、つながっているように感じました。(女性・長野)
・どの絵本も素晴らしい観察眼と生態調査のご苦労がありながらも、単なる知識の本ではなく生きる力をたたえる愛情に満ちた内容で感激しています。また、いまの時代に大事な多様性のすばらしさも優しく描いて頂いていて、子どもたちに紹介したい本がたくさんあります。 最後のほうで話された、かこさとしさんとの『みずとはなんじゃ』制作のお話も聞くことができてよかったです。(女性・神奈川)
・鈴木まもるさんの講演会で、絵本作家の真髄を見ることが出来ました。あまりに感動して、いまだにうっとりとしています。鈴木まもるさんの、ことばひとつひとつが、こころの中で響いています。絵本は作家の生きざまなのだと思いました。(女性・大分)
[月刊クーヨン]25年5月号には、書ききれなかった講演内容を掲載!
クレヨンハウスの育児雑誌[月刊クーヨン]では、書ききれなかった講演内容を掲載しています。鈴木まもるさんの記事は、2025年5月号(4/3発売)に掲載!あわせてチェックしてくださいね。
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「子どもの本の学校」34期はまだまだ続きます
作家と読者を結ぶ講演会イベント、「子どもの本の学校」34期は、まだまだ続きます!
この出会いが、一生を変えるような忘れられない大切な一冊との出会いになるかもしれません。
どこまでも自由な絵本の世界の魅力を、もっともっと知ることができる講演会イベントです。
ご参加を、お待ちしております!
※本ページに表示されている商品価格等は講演会開催時点のものです。