
【講演会レポート】真鍋真さん(恐竜学者)/子どもの本の学校 34期

1991年5月よりスタートした、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」連続講座は、2024年で34期を迎えました。
子どもの本の専門店として、作家と読者が出会う場所をつくりたいとの思いが出発点。
“子ども”をキーワードに、子どもについて、子どもの本について、子どもをとりまく大人の世界について、ご一緒に楽しみながら考えていきたいと思います。
2025年3月の講師は、真鍋真さん
真鍋真(まなべ・まこと)さんは……
博士(理学)。25年3月までは国立科学博物館の副館長を務め、定年にともない4月からは名誉研究員に。群馬県立自然史博物館の特別館長でも。恐竜など中生代の化石から読み解く爬虫類、鳥類の進化をおもな研究テーマとしている。図鑑や絵本の監修、読みものの執筆、絵本の翻訳、博物館・展覧会の展示監修など、多岐にわたって活躍している。父はイラストレーターの真鍋博(まなべ・ひろし 1932-2000)さんで、子どもの頃は父のアシスタントとして働いていた五味太郎さんや林明子さんにあそんでもらったという経験も。
講演会タイトル「太古の恐竜と現代を絵本でつなぐ」
子どもの頃から親しんでいた絵本『せいめいのれきし』(バージニア・リー・バートン/文・絵いしいももこ/訳岩波書店)に、大人になって改訂版の監修というかたちで関わることになったという、真鍋真さん。新訳に変えるのではなく、あくまで監修なのは「絵本『せいめいのれきし』は、バートンさんと石井さんの作品だから」だと言います。
「作品として完成している以上、後から科学的・歴史的な事実が変わったからと言って、それに合わせて変えなくちゃいけない必要は全然ないはずなんです。でも実際は、内容が古いからと言って読まれなくなっていました。だから最低限のことばを直して『古い事実に基づいて、まちがって書かれている』と言われなくてすむようにすることを最大の目標としました。オリジナルは1962年に書かれていて、64年に日本語に訳されていますから、たとえば『緩やかな環境変化に追いついていけなくて、恐竜は絶滅してしまいました』と書かれていたのを『一部は鳥として進化を続けている』などに変えています」(真鍋さん)
研究者として積み重ねた知識を、噛み砕いて伝えてくれる真鍋さんのお話に、会場に来てくれた「恐竜好き」の子どもたちも熱心に耳を傾けていました。そうした真鍋さんの伝えようとする姿勢は、『深読み! 絵本『せいめいのれきし』』(真鍋真/著 岩波書店)ほかの著書にもあらわれています。それでも、「いまはいない恐竜の研究をして、現代のわたしたちの役に立つの?」と言われることも……。
「現在は人間の存在によって、周囲の生物が数多く絶滅してしまっています。このようなことはゆっくりと少しずつ起こるので、一人ひとりの人間はそれに気づけません。たとえばカメは約6600万年前の大量絶滅の危機は平気だったのに、人間が増えて環境が変わった現代では、どんどん絶滅していってしまっています。わたしたち人間は、歴史から学ぶことのできる唯一の生物です。だから恐竜が絶滅したときと現代を比べて、いまがどれほど危機的かを知ることができます。そのうえで人間が絶滅しないために、生物多様性を保持して、生態系を安定させることが重要です」(真鍋さん)
人間と恐竜に「近いつながり」はないかもしれませんが、地球上のほとんどの生物は、進化の過程のどこかでつながっています。現代の生物たちが生きられる環境を守るのは、恐竜をよみがえらせるほど、むずかしいことではありませんよね。

『きょうりゅうレントゲンびょういん』(キョン・ヘウォン/文・絵 真鍋真/監修 こまつようこ/訳 パイインターナショナル)は、何人かで読み合うとたのしさが増します! この日は、お医者さんのトロオドンを真鍋さんが、患者のティラノサウルスや看護士役をクレヨンハウスのスタッフ(鏡・野村)が担当し、会場の笑いを誘いました。
講演で紹介された本の一部をご紹介
特別サイン会&限定サインカードは、参加者だけの特典です


講演会終了後にはサイン会を開催。間近でお話ししながら直筆サインを入れていただける貴重な機会です!
オンライン視聴の方は、対象書籍ご購入で、描き下ろしの特別サインカードをプレゼント!
真鍋真さんの講演会に参加されたお客さまの声をご紹介!
・科学や文学芸術をごちゃ混ぜにしたような恐竜などのお話は、好きこそものの上手なれの見本であり、目指していきたいところであります。海外でのイベント、陸前高田でのイベント、絵本を使いアナログに、そして子どもたちの創造の大きさを広げて行ける素晴らしさにも大きな感動をいたしました。ありがとうございます。(宮城県・女性)
・地球の古代からの背景をわかりやすく解説して頂き、生きていない時代になんだか親しみを感じました。いのちあるものは奇跡であること、、、不思議な感覚で拝聴しました。真鍋さんが話すことでロマンを感じるのは、おひと柄と研究の賜物なのでは?と思いました。これからもお身体に気をつけて、恐竜について語り続けて下さい。(タイ・女性)
・全く触れたことのない分野で、今回の恐竜のお話をとてもたのしみにしていました。恐竜の生態など、一つひとつ丁寧に読み解くことで、いま現在わたしたちが暮らしてる世界にどう繋がっているのか?!など…感動しましたし、また、このような研究が如何に大切か敬意を感じます。(静岡・女性)
[月刊クーヨン]25年6月号には、書ききれなかった講演内容を掲載!
クレヨンハウスの育児雑誌[月刊クーヨン]では、書ききれなかった講演内容を掲載しています。真鍋真さんの記事は、2025年6月号(5/2発売)に掲載!あわせてチェックしてくださいね。
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「子どもの本の学校」34期はまだまだ続きます
作家と読者を結ぶ講演会イベント、「子どもの本の学校」34期は、まだまだ続きます!
この出会いが、一生を変えるような忘れられない大切な一冊との出会いになるかもしれません。
どこまでも自由な絵本の世界の魅力を、もっともっと知ることができる講演会イベントです。
ご参加を、お待ちしております!
※本ページに表示されている商品価格等は講演会開催時点のものです。