
【講演会レポート】長谷川義史さん(絵本作家)& あおきひろえさん(絵本作家)/子どもの本の学校 34期

1991年5月よりスタートした、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」連続講座は、2024年で34期を迎えました。
子どもの本の専門店として、作家と読者が出会う場所をつくりたいとの思いが出発点。
“子ども”をキーワードに、子どもについて、子どもの本について、子どもをとりまく大人の世界について、ご一緒に楽しみながら考えていきたいと思います。
2025年7月の講師は、長谷川義史さん&あおきひろえさんご夫妻
あおきひろえさんは……
2004年に『パパとぼく』(絵本館)で絵本作家デビュー。鈴木翼さんとの「なんでやねん」シリーズ(世界文化社)がちびっこに人気。絵本の仕事のほか、落語好きが高じて、かつての自宅を寄席にした『ツギハギ荘』、絵本のギャラリー『空色画房』の運営を行っている。母校・京都精華大学デザイン学部特任教授。上写真で持っているのは『そつえんするってことは』(中川ひろたか/作 アリス館)。
長谷川義史(はせがわ・よしふみ)さんは……
2000年に『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版)で絵本作家デビュー。以降、ユーモラスな作品からいのちや平和を考える作品まで、幅広く手掛けている。「ぼうし」シリーズ(ジョン・クラッセン/作 クレヨンハウス)で大阪弁翻訳家としても話題に。最新作は『朗読詩 ひろしまの子』(四國五郎/詩 BL出版)。2022年「第2回やなせたかし文化賞」受賞。
講演会タイトル「絵本よもやま話~長谷川家のお茶の間から」
ともに絵本作家である、長谷川義史さんとあおきひろえさんのご夫妻。手掛けられた絵本は、ユーモラスなものから、こころに染みる本、そして平和を願う本まで、さまざまです。
長谷川さんの『たこやきのたこさぶろう』(小学館)は、若者には若者の悩みがあるように、たこ焼きにはたこ焼きの悩みがあるというお話。たこさぶろうのコンプレックスは、なんとタコを入れ忘れられてしまったことでしたが……「自分がマイナスだと思っていることも、プラスになって、それが個性になるよ、いい出会いもあるよって」(長谷川さん)
あおきさんが絵を描いた『そつえんするってことは』(中川ひろたか/文 アリス館)は、子どもの成長を一つひとつずっと温かく見守るような絵本。「子どもの卒園式って、感慨深くないですか? 生まれたときから卒園するまでの一コマ一コマが、もう全部宝もののようでね。頭にワーッと思い出がよみがってきて、本当に感動的なんですよ。そういう自分の体験も思い出しながら、温かい気持ちで描きました」(あおきさん)
へび年の今年にオススメなのが、長谷川さんが絵を描いた『へびのニョロリンさん』(富安陽子/文 童心社)。「ニョロリンさんは割とむちゃくちゃ言いよるんですけど、それをどうぞと受け入れちゃう相手の懐の深さがすばらしい。ちょっと譲れば仲良くやっていけるんやでっておしえてくれているような気がします」(長谷川さん)
新作落語をあおきさんが絵本にしたのが、『ききみみトーマス』(桂雀喜/原作 あかね書房)。じつは原作の落語と、絵本のオチは違っているそうです。「それぞれ味わいが違うので、雀喜さんの落語もぜひ聞いてください。そもそも落語って、江戸時代につくられた創作落語が、語り継がれて現代で『古典』と言われるようになってるだけなので、この新作ももしかしたら、語り継がれて『古典』になる可能性が……ないとも言えない」(あおきさん)
そんなあおきさんの『ここにいる』(あかつき教育図書)は、おとうさんが亡くなる際に看取ってあげられなかった後悔、伝えきれなかった感謝の気持ちを「全部絵にぶつけて」できた絵本です。「ひとは亡くなっても、そのひとの考え方が自分の中に根付いていると、いまもこころのなかで生きていると感じます。戦争で奪われてしまういのちもあるなか、人生をしっかり生きて終えられたのなら、『おめでとう』と送り出すべきだと」(あおきさん)
長谷川さんが絵を描いた、平和を求める『朗読詩 ひろしまの子』(四國五郎/詩 BL出版)とだれもが平等だとうたう『グーチョキパーのうた』(趙博/文 解放出版社)は、どちらもこの夏に読みたい絵本です。「ジャンケンのとき、ひとりだけ強いやつなんていません。だから、ぼくらの社会にも権力者なんていらない。権力者の判断ひとつで戦争に繋がってしまいますから。もう戦後80年です。みんな戦争のことを忘れていきます。だから、忘れないこと。戦争は二度とくり返さないという思いをしっかりもっていまを生きないと、亡くなった子たちに顔向けできません」(長谷川さん)


今回の会場は「お茶の間」をイメージ。ふたりで話したり、絵本の読み聞かせをしたり、ウクレレ&リコーダーで演奏したり……。ときには回覧板(という名の質問の紙)がまわってくることも(回覧板をまわしにきたのは、「お隣の間崎さん」こと、クレヨンハウス大阪店2F子どもの本売り場のスタッフでした)。ちゃぶ台や回覧板を使うアイデアは、あおきさんのご提案です!




長谷川さんお馴染みの「ライブペインティング」は、二本立て。最初は「ライブ紙芝居」で、その場で絵を描いてはめくって、紙芝居を見せてくれました。次にあおきさんも加わって、スペシャルな「ライブペインティング」を開始! 「はじまる前は、ゾウを描くって話してたんですけど……」と言いながら、オオサンショウウオを描きはじめるあおきさん。長谷川さんは「言うてたのとちがうやん」と言いながら、合わせて描き足して……完成した絵は、限定サインカードに。
講演で紹介された本の一部をご紹介
限定サインカードは、参加者だけの特典です
講演会終了後にはサイン会を開催。間近でお話ししながら直筆サインを入れていただける貴重な機会です!
オンライン視聴の方は、対象書籍ご購入で、描き下ろしの特別サインカードをプレゼント!

長谷川義史さん&あおきひろえさんの講演会に参加されたお客さまの声をご紹介!
作家さんに実際にお会いできる機会はとても大切な時間です。
本ができるきっかけのおはなしや、長谷川家のお茶の間の会話、すてきな演出、そして、ライブペインティングをふたりで仕上げる過程も完成した絵も、とてもすばらしかったです。講演会が終わったいまも、いつの間にか、ニコニコ笑顔でいます。パワーをいただいて帰りました。長谷川義史さんの『いいから いいから』(絵本館/刊)や、あおきひろえさんの「なんでやねん」シリーズ(世界文化社/刊)は、からだやこころがしんどい時に元気をもらった絵本で、今回サインを入れていただけて、うれしかったです。(大阪府・女性)
長谷川義史さん、あおきひろえさんが、ご家庭でくつろぐような雰囲気の講演会はとても親しみがもてました。絵本の読み語りはとても和み、心地よい時間でした。
おふたりで、ひとつの絵を描くライブペインティングでは、すばらしい作品のできあがりを一緒に体感でき、感動しました。ありがとうございました。
(広島県・女性)
とてもたのしい貴重な時間を有難うございました。
おふたりの掛け合いが、とてもたのしくて画面越しにホッコリと拝見しました。本当に お茶の間にいるように感じました。
あおきひろえさんが『そつえんするってことは』(アリス館/刊)を読んでくださったとき、子どもの成長の1コマ1コマを思い出させるようなすてきな絵本だなぁと、自分の子どもの幼い頃を思い出して、少しウルッとしました。
長谷川義史さんの『ひろしまの子』は、空色画房で原画を拝見し、その時に感じた子どもたちの視線から静かに訴えてくるものが、耳から「ことば」として聴くと、さらにこころに響くものがありました。自分では、涙が出そうで声に出して まだ 読めていませんが、やはり 声に出して読まなくては、と思いました! 何回も何回も読んでから、泣かずに こころ落ち着けて読めるようになって、子どもたちにも聞いてもらいたいです。
(大阪府・女性)
[月刊クーヨン]25年10月号には、書ききれなかった講演内容を掲載!
クレヨンハウスの育児雑誌[月刊クーヨン]では、書ききれなかった講演内容を掲載しています。 長谷川義史さん&あおきひろえさんの記事は、2025年10月号(9/3発売)に掲載!あわせてチェックしてくださいね。
過去のレポート記事もご覧ください
「子どもの本の学校」34期はまだまだ続きます
作家と読者を結ぶ講演会イベント、「子どもの本の学校」34期は、まだまだ続きます!
この出会いが、一生を変えるような忘れられない大切な一冊との出会いになるかもしれません。
どこまでも自由な絵本の世界の魅力を、もっともっと知ることができる講演会イベントです。
ご参加を、お待ちしております!
※本ページに表示されている商品価格等は講演会開催時点のものです。