第1回「触れる」あそびで世界が広がる|発達を促すセラピー・トイ
発達を促すセラピー・トイ [月刊クーヨン]連載より
近年、発達障がい、と診断される子どもが増えています。
あかちゃんから、あそびを通して、段々と「ひと」になっていく……。その人間の発達観をベースとしたセラピー教具「TAG TOY」開発者であり、教育心理学博士のメストネック博士にお話を伺いました。発達障がいの原因のひとつに「あそびの不足」がある、とメストネック博士は言います。
[月刊クーヨン(クレヨンハウス/刊)]2026年より転載
第1回 「触れる」あそびで世界が広がる
あかちゃんの脳の発達
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乳幼児期の発達を考えるうえで、忘れてはいけないこと。それは「あかちゃんの脳は目まぐるしいスピードで発達している」ということです。実際に誕生3年以内の子どもの脳内では毎分700 個もの神経細胞が、ほかの神経細胞に常につながりを形成し接続しています。この脳神経細胞どうしのつながりによって、情報がしっかりと保存されるわけです。そして、これをわたしたちは知能(インテリジェンス)と呼んでいます。

発達に欠かせないのが「触れること」
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最初に視覚、聴覚、言語、身体的運動機能が発達します。とくにこの身体的運動機能を、あかちゃんは誕生後に必死で発達させるわけですが、その発達に不可欠なのが「触れること(触覚)」です。触れることを通してさまざまなモノや感覚を感じたり、モノを動かす経験をしたり、世界と関わること、探求するたのしさを学びます。
ベビーベッドなどに取り付けられたモビールやラトル(いわゆるガラガラ)を振って見せてあげることは、まだ重力に逆らうことのできないあかちゃんにとって、自らの感覚を使うことのできる大切な「はじめてのおもちゃ」です。 
TAG-TOY「回転式視覚刺激ドラム」の誕生
次第にハイハイやおすわりが安定しはじめると、さらに見ること(視覚)や、聞くこと(聴覚)がたのしくなります。そんなあかちゃんの欲求を、おもちゃで満たしてあげることはできないだろうかと考えたのが「回転式視覚刺激ドラム」です。
手でドラムを回すたのしさは、まさに自らの手で何かを操作するというたのしさにつながり、表面に施した数枚の鮮やかな色板がときに速く、ときにゆっくりと回転し、中のビー玉がカラカラカラカラと鳴る音の変化もまた、子どもを魅了し自然と笑顔が浮かびます。子どもは何度も何度も夢中になってあそぶなかで、多様な感覚が環境と複雑にかかわり合う体験を重ねます。そうやってはじめて、自分が生きる世界を感じるのです。

回転式視覚刺激ドラム
ちいさな力でもかんたんに回転するドラムには、キラキラ光る模様がついていて、あかちゃんの「周囲のものに触ってみたい」という意欲を引き出します。ドラムの中にはビー玉が入っていて、回転にともなって「カラカラ」と音がするのもたのしいもの。聴覚を刺激し、何度もチャレンジしようという意欲につながります。
こんな育ちを応援します
・周囲の光や音にあまり関心を示さない子どもに。
・腕と手首の筋力を育てます。
・目と手が協調して働く動きを育てます。
ご家庭用ならこんなおもちゃもオススメ!
「はじめてのおもちゃ」pick up
「見ること、聞くことがたのしいおもちゃ」more options
Laurence M.Mestyanek(ラリー・メストネック)
南カリフォルニア大学でギルフォード&メーカー博士より知能構造理論を学び、教育心理学博士号を取得。1976年に、障がい児や軽度発達障がい児、学習困難をもつ子どものための「セラピー玩具」の開発をスタートし、TAG(Think And Grow)社を設立。日本では、国際臨床保育研究所が中心となって、メストネック博士のセラピー玩具を広めている。
https://www.tagtoys.com/勝山結夢(かつやま・ゆむ)
NPO法人国際臨床保育研究所・所長。創立者辻井正さんのもとで、おもに乳幼児の教育理論をまなび、セラピー教具の必要性にいちはやく気づき、普及活動に従事。現在も、保育者向けの保育法やセラピー教具をつかった研修に従事。この連載では、メストネック博士の原稿の翻訳を担当されている。
http://www.kiccc.or.jp/
