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父親を病気で亡くした小学5年生の輝は、ベランダに立つ母親に手をふりながら「いってきまーす」と告げて、学校に向かうのが朝の日課。 そんな輝を同級生の友だちは、マザコンみたいだと茶化しますが、香帆は、ベランダに立つ母親に向かって挨拶する輝を、「おかしいなんて思わない」、とはっきり言います。 実は香帆も父親を事故で亡くし、輝と同じ母子家庭だったのです。自分とは違い、母親と仲の良い輝を羨ましく思っていました。 運動会が近づくある日、香帆は「二人三脚競争は、母親と自分の再出発」だと、つよい思いを輝に話しますが、当日、香帆の母親は、仕事の都合で来られなくなってしまいます。 落ち込む香帆を見て、輝はあることを思いつき……。 同級生や周りの人のちょっとしたやさしい言葉や行動が、沈んだ気持ちをふっと軽くしてくれる、葉山エミさんのデビュー作です。
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