商品コード:9784309030449

わたしたち

落合恵子、待望の長編小説! 1945~2021年、友情を紡ぎながらそれぞれの「わたし」を生き抜いてゆく女四人を描く。
1,870円(税込)
1,700円(税抜)
著者名
落合恵子/著
出版社名
河出書房新社
ページ数
232
発売日
2022/06/28
新刊によせた著者のことば
「わたし」がいるようで、「わたし」がいない。つながっているようで、「わたしたち」がいない。
そんな風に見えるデジタル時代に、おせっかいするつもりはない。
しかし、アナログの時代を生きた「わたしたち」には、ひとりひとりの「わたし」がいたような・・・
4人の「わたし」と
4人の「わたしたち」の物語り。
編集担当/河出書房新社・高木れい子様から

昭和という時代――そこにはまだ人々が共に夢中になった共通の体験や文化がありました。
誰もが同じ流行歌を歌い、同じテレビドラマの話で盛り上がる。 だが時代は移り変わり、 家族団欒の中心だったラジオは、 やがてパーソナルラジオの時代を迎え、テレビに代わっていきます。 そんな昭和から令和に至る約80年もの時の流れを背景に、著者は婚外子を産んだ子たちの母親の時代 (戦前) から今日までを、 名もなき女性たちの日常を通して描き出していきます。

その描写は 「歴史の本流」にならないよう、注意深く支流がたどられていきます。
同じ時代を呼吸する 「わたしたち」の少女らしい喧騒にみちた夏の海のシーンの後に、美由紀の孤独が描かれる。 あるいは、ただ一人専業主婦になった佐智子が最期にみせる非凡な勁さ。
一人の人間のなかにも、表に見せる顔と見せない/見せられない顔があるように、大きな歴史の中で取りこぼされていく、ささやかな日々の営みの本音。 その二つを掬い取るべく、物語は独特の構成で進んでいきます。
馴れ合うのではなく、 互いの翼がそれぞれ違う地点を目指していくことを見守っていこうとするかけがえのないあり方。

鈴木美智子先生の言葉に背中を押されながら。互いの存在に背中を押されながら、「わたしたち」は「わたし」になっていくことで、より 「わたしたち」のあり方を深めていきます。
この小説はまるで「赤毛のアン」 などの良質な少女小説のように、 教訓ではなく智恵が、 そして冒険に満ちています (大人のための少女小説!)。
忘れがたい言葉たちは、きっとあなたの翼にも寄り添ってくれることでしょう。この小説こそあなたの背中をそっと押してくれる存在そのものなのです。

カートに入れました

お買い物を続ける カートへ進む

※amazon pay 使えます/取寄せの際に入荷まで7日以上かかる場合もあります

あらすじ

1958年、13歳になる年、わたしたち一一美由紀・容子・晶子・佐智子の四人の少女一一は、 希美学園で出会った。

中高一貫教育の女子校・希美学園には進取の校風があり、 さまざまな生徒が集まってきた。だがそれでも父親が米国軍人であるハーフの美由紀は、 クラスで浮きがちだった。 美由紀以外も、 わたしたちはそれぞれ自分たちではどうしようもない背景を抱えていた。容子と晶子は婚外子だった。 佐智子は男の子の誕生が望まれていた家に生まれ、そして優秀な姉に劣等感を持っていた。

中等部一年の夏の臨海学校。 「わたしたち」は外房の海を訪れたのをきっかけに、 さらに友情を育んでいく。

希美学園には 「わたしたち」 の背中を押してくれたる副校長 鈴木美智子先生の存在があった。 月一回の講話で紹介される内外の女性たちの生き方、 そして何より美智子先生の存在に、わたしたちは励まされていた。

「誰かの妻になろうと努力する人生よりも、 大事なことは、そうと望めば、女性でも大統領や首相を目指せる社会であることだとわたくしは考えます。 努力と研鑽を積めば、ですが。
医者と結婚して医者の妻になるより、 あなたが医者になることのほうが素敵です。 弁護士の妻になるより、 他でもないあなた自身が人権意識の高い弁護士になることのほうがはるかに素晴らしいのではありませんか」

「しかし、 あなたにとって最も大事なことは、 何になるかではなく、 どう生きるかであり、よりあなた自身になっていくことです。 なぜならば、あなたがあなたであること以上に、プレシャスなことはありません」

四人の女の子たちが出会った1958年から2021年まで半世紀以上にわたる 「わたしたち」 の 決して変わることのないかけがえのない関係性とは?
そして卒業後、 それぞれの人生を歩み始めた 「わたしたち」 の、 「わたし」 になるための変わりゆく人生とは?

落合恵子にしか描きえない圧巻の長編小説の誕生!

この商品のレビュー

最近チェックした商品履歴を残さない