おみせやさん

外に遊びに行けないし、友だちも来ないし、つまらない雨の日に、「ぼく」がするのは、とっておきのおまじない。
「たのしい　なにか　たのしい　なにか。」
そう呪文を唱えると、たちまち「いいこと」を考え付くんだ。
今日、ぼくが考えたのは、お店屋さんごっこ。
ハンカチやコップ、クレヨンなんかを床に並べて、窓から外へ「お客さんいらっしゃい」「安いですよ！」なんて呼び込んでみると、気分はすっかりお店屋さん。
その声に誘われるように、すずめやねこ、それと、雨の日だけのお客さまがやって来て……。
退屈な雨の日だって、ちょっとしたくふうと想像力があれば、いつの間にか元気いっぱい、いつもの調子！
1992年初版の『おみせやさん』の改訂新版。
あとがきが追加されました。