火星のライオン

2091年、火星では、アメリカやフランス、中国など、各国のシェルターが建てられ、地球からの移住者が暮らして久しかった。
アメリカのシェルターで暮らす子どもたちのうちのひとり、10歳の少年ベルは、他の国のシェルターと一切交流がないことに疑問を抱きながらも、同じアメリカのシェルターの仲間たちとたのしく暮らしていた。

ところがあるとき、大人たちが全員ウィルスのものと思われる謎の病気によってつぎつぎと倒れていってしまう。
大人たちを救うため、ベルは友だちと一緒に接触の禁止されている他の国のシェルターに向かうが……。

リアルな宇宙生活の描写に引き込まれると同時に、蔓延していくウィルスの恐怖や、火星においても地球上の国境という概念がつづいている世界観は、現代社会の問題をあらためて思い起こさせ、地球で暮らす人類の未来について考えさせられる。