たびする木馬

はるか遠い国で生まれた、メリーゴーランドの木馬、ブラン。毎週のように乗りに来る男の子が、つけてくれた名前です。
男の子を背に乗せて音楽に合わせまわりはじめると、ブランはまるで空を飛んでいるよう。
やがてメリーゴーランドにひとが来なくなって、ブランはとなりの国へ移動することに。
男の子やきょうだいの木馬とはなればなれになって、移った先の遊園地で、さびしい思いをするブラン。
そんなブランに女の子がリボンをつけてくれました。
でも、そのリボンが古くなったころ、ブランはまたほかの村へ。
お祭りの衣装を着せられたり、結婚式でウェディングドレスを着た女の人を乗せたり。
乱暴な子どもに傷をつけられることもありました。
ときが経つにつれ、ペンキがはがれ、白かったからだもくすみ、走るとギイギイ音がするようになりましたが、背中から笑い声が聞こえるとブランは幸せでした。
やがてブランを愛する老人に引きとられます。
ゆっくりとおだやかな時間を過ごしますが……。
どんな時でも耳をピンとたて、前を向いて走り続けるブラン。
時の流れの中で変わるものと変わらないものと……。