旅する小舟

一枚の紙から折りあげられた一層の小舟は、大海原へと漂っていきます。
どこまでも水平線の続く海の上、波に揺られる小舟はさまざまなものに出合います。
渡り鳥の群れや、数えきれないほどの種類の魚たち、そしてある時は、6つの頭を持つ光る眼の獣たちや、荒れ狂う海の中を巨大な巻貝に乗って渡る悪魔のようなシルエットの「何か」など。
冒険を乗り越え、やがて小舟はとある街のしずかな水路に辿りつきます……。

精密で繊細に表現された風景や生き物たちの織り成す圧倒的な世界観は、すべてモノクロで描かれていますが、ページをめくるごとにあざやかな色彩を頭の中に浮かび上がらせます。
文章も一切無いこの作品は、開く度に新しい物語を語ってくれるよう。