バトン

圭のおばあちゃんが、ある日持ってきた、ずしりと重いきれいな箱。
中から出てきたのは、木目込みのひな人形でした。
実はこれは、おばあちゃんの娘、圭の叔母にあたるカオルさんのために作られたものでしたが、カオルさんは早くに亡くなっていました。
おばあちゃんは、のこされたひな人形をずっと大切に持ち続けていたのです。
「このひな人形をもらって欲しい」
グループホームに入ることを決めたおばあちゃんの願いで、圭は、友だちであるイラン出身のハッサン、朝子の3人でひな人形を分けることに。
三人官女は圭に、五人囃子はイランにいるハッサンのいとこの元へ。女雛と男雛は、ひな人形を持っていなかった朝子のもとへ。
リレーのバトンを渡すように、次の世代へ手渡される、ひな人形。ひとの思いといのちのつながりを感じる1冊です。