なみのむこうに

深くて暗い海の上、ぽつんと浮かぶ小舟にひとりで乗っている女の子のエラは、心細くて、いまからどこに向かっていいのかもわかりません。
そんなエラを、まわりの生きものたちは励ましてくれます。
マストにちいさな灯りを運んでくれた白い鳥、波乗りの方法を教えてくれたクジラ、そして、おおきなイルカは「こわがると、なみは大きくみえる。でも、どんなに大きく思えたものも、のりこえてしまえば　ずっと　小さくみえるのよ」。
エラに向かって、そう語りかけます。
そうして助けてもらいながらも、じぶんで波を乗り越えたエラの目の前に広がっていたのは……。
太陽の元では気づかないくらいのほのかな灯りが、暗い海でやさしく、あたたかく光る情景がブリッタ・テッケントラップさんによるコラージュで美しく表現されています。
どうしたらいいかわからないと、うつむきがちになった時、そっと気持ちに寄り添ってくれる、勇気と希望に満ちた絵本です。