わたしのしゅうぜん横町

旅先で訪ねたはじめての町。
そこで出会った男の子に導かれるようについていった「わたし」の目の前にあらわれたのは、「しゅうぜん横町」という、ものを修理する修繕屋ばかりが並んでいる通りでした。
たんす屋、人形屋、刃物屋までその数なんと88軒！
「わたし」は、それぞれのお店で働く個性豊かな店主たちに、思い出深い修繕の話を聞きます。
引き出しが開かなくなったたんすの話、カードの模様の中に閉じ込められた猫の話……。

持ち主にとって大切な品物にまつわる話は、時にはあたたかく、時には切なく、どこかふしぎな物語を通して、持ち主のすがたが見えてくるようです。
9つのお店の物語が一編ずつ入っていて、「次は何屋さん？」とわくわくする短編集です。