【講演会レポート】舘野鴻さん(生物画家・絵本作家)/子どもの本の学校 34期

「子どもの本の学校」 34期 第1回 舘野鴻さん

1991年5月よりスタートした、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」連続講座は、2024年で34期を迎えました。
子どもの本の専門店として、作家と読者が出会う場所をつくりたいとの思いが出発点。
“子ども”をキーワードに、子どもについて、子どもの本について、子どもをとりまく大人の世界について、ご一緒に楽しみながら考えていきたいと思います。

2024年11月の講師は舘野鴻(たてのひろし)さん

舘野鴻(たての・ひろし)さんは……
幼い頃から「ご近所さん」の絵本画家・童画家の熊田千佳慕(くまだ・ちかぼ 1911-2009)さんに師事。昆虫を中心とした生物に親しみながら、演劇や現代美術の創作、音楽活動を行うように。その後、図鑑の標本画や解剖図、景観図などを描く仕事を経て、2005年から絵本創作をはじめる。絵本(原作の みを含む)や創作のほか、生物画や本の装画も多く手がける。『どんぐり』(小峰書店)で第29回日本絵本賞を受賞。

講演会タイトル「虫とひと」

クレヨンハウス東京店(吉祥寺)へ、「〈丸腰〉で行きます!」と言って、身ひとつで来てくれた舘野鴻さん。マイク1本で、熱く、たのしく、ときに真面目に、たっぷりとお話してくれた90分間でした。

「虫って〈丸腰〉で、ただ、いま生きている。これってすごいことだと思っています。虫には、とてもわたしが真似できないような、無垢さ、潔さ、勇敢さがあると思っています。わたしは虫を採取したり、観察したり、絵に描いたりしているわけですが、結局は虫を通じて『わたしはどう生きるべきなのか』と問いかけられます。虫のように、潔く生きたい。虫のような生き方はできないとしても、そう在りたいと思って生きていきたい。同じ問いを、読者にも発しています。『虫はこういうふうに生きている。あなたはどうですか』と。

わたしが好きなのはオサムシですが、絵本で描く虫は、好きだからという理由では選ばないようにしています。『しでむし』(偕成社)で、生きものの死骸を食べるシデムシを選んだのは、一般的な表現の世界では、〈死〉ににあまりちゃんと触れず、忌まわしいものとして遠ざけてしまう。だから、あえて描きたいと思ったわけです。それに、生き死にについて人間の物語として描くと、過剰に感情移入してしまったりして、かえって伝わらないことがあります。でも虫なら、シンプルに〈いのち〉の話として読んでもらえると。

虫が気持ち悪いというひともいるけれど、人間の好みに合わせた外見や行動になってためにいるわけではないので、当たり前です。それにもし、わたしがシデムシだったら、生きていくために〈死体〉を食べます。わたしたち人間が普段の食事をすることと何も変わりがありません。それなのに人間の感覚で、汚いとか気持ち悪いと言われるのは、おかしいですよね」(舘野さん)

「子どもの本の学校」 34期 第1回 舘野鴻さん

舘野鴻さんのご講演は、クレヨンハウス東京店(吉祥寺)のB1F「未完の本屋」で開催されました。クリスマスを前に、売り場にはツリーやオーナメントなどが置かれて、舘野さんの背景もにぎやかです。絵本を掲げているのは、司会を担当する、子どもの本売り場スタッフの鏡。



特別サイン会&限定サインカードが特典に!

講演会終了後にはサイン会を開催。間近でお話ししながら直筆サインを入れていただける貴重な機会です!

オンライン視聴の方は、対象書籍ご購入で、描き下ろしの特別サインカードをプレゼント!


舘野鴻さんの講演会に参加されたお客さまの声をご紹介!

・すでに完成した諸々の作品の豊かさはもちろんのこと、まだ描かれていない作品のアイディアやそこに込められている情熱の一端に、講演を通じて触れられてエキサイティングだった。(東京都・男性)

・一言では言えないけど、たてのさんの生き方、生き様、これまでの経験、何を目指しているのか、何事も調べていくのがすごいなと思いました。気さくに話しかけてもらって感動しました。ありがとうございました!!(東京都・女性)

・7ヶ月の息子を子育て中の母です。とても興味深いお話でした。情報を得てわかった気になっている事沢山あります。まず身近なところからリアルを追究してみようと思いました。(愛知県・女性)



[月刊クーヨン]25年2月号には、書ききれなかった講演内容と、 ここでしか読めない「わたしのオンリーワン」のインタビューも掲載!

クレヨンハウスの育児雑誌[月刊クーヨン]では、ここでは書ききれなかった講演内容と一緒に「子どもの本の学校」の講師のみなさんにお聞きしたインタビュー「わたしのオンリーワン」も掲載しています。
舘野鴻さんの記事は、2025年2月号(1/4発売)に掲載!こちらもあわせてチェックしてくださいね。

「子どもの本の学校」34期はまだまだ続きます

作家と読者を結ぶ講演会イベント、「子どもの本の学校」34期は、まだまだ続きます!
この出会いが、一生を変えるような忘れられない大切な一冊との出会いになるかもしれません。
どこまでも自由な絵本の世界の魅力を、もっともっと知ることができる講演会イベントです。
ご参加を、お待ちしております!




※本ページに表示されている商品価格等は講演会開催時点のものです。