【講演会レポート】鈴木俊貴さん(生物学者)/子どもの本の学校 35期

「子どもの本の学校」 35期 鈴木俊貴さん

1991年5月よりスタートした、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」連続講座は、2025年で35期を迎えました。子どもの本の専門店として、作家と読者が出会う場所をつくりたいとの思いが出発点。“子ども”をキーワードに、子どもについて、子どもの本について、子どもをとりまく大人の世界について、ご一緒に楽しみながら考えていきたいと思います。



2026年4月の講師は、鈴木俊貴さん

鈴木俊貴(すずき・としたか)さんは……
東京大学准教授・東京大学卓越研究員。博士(理学)。シジュウカラに言語能力を発見し、動物たちのことばを解き明かす新しい学問「動物言語学」を創設。現在は、東京大学 先端科学技術研究センターに、動物言語学分野を専門とする世界で初めての研究室「動物言語学分野 鈴木研究室」をもつ。文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、日本生態学会宮地賞、日本動物行動学会賞、World OMOSIROI Awardなど受賞多数。初の単著『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)は、第13回河合隼雄学芸賞、第24回新潮ドキュメント賞、書店員が選ぶノンフィクション大賞2025、かってに芥川賞・直木賞(芥川賞部門)、SNS推し本大賞2025(世界の見え方、変わるで賞)などを受賞し、2025年にもっとも話題になった本の一冊となった。

講演会タイトル「僕には鳥の言葉がわかる」

 20年以上も長野県の森に入ってシジュウカラの観察と研究を行い、「シジュウカラにはことばがある」ことを発見した鈴木俊貴さん。学会などではすでに注目のひととなっていましたが、2025年に初の単著『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)が刊行されたことで、一般のひとにも広くその発見が知られることとなりました。

「紀元前からの長い間、動物の鳴き声はただ単に感情の表れであって、人間だけがことばをもっていると信じられてきました。だけど、きちんと観察・研究をしたら、そんなことはありませんでした。シジュウカラは、『ジャージャージャー』という鳴き声でヘビを、『ヒヒヒ』という鳴き声でタカという意味を伝えています。『ピーツピ・ヂヂヂ』という鳴き声は警戒して集まれという意味の文章で、翼を後ろにバタバタする行動は、お先にどうぞというジェスチャーになっています。

こう説明すると、人間のことばとシジュウカラのことばは似ていると思うかもしれません。ぼくも、共通点がたくさんあると思います。だけど擬人化はよくない。『人間のように喋っている』と考えるのは間違った解釈で、人間のことばとの共通点もあれば、違いもあるんです。たとえば、大きな違いは、シジュウカラは生まれつき、鳴き声ということばを理解できること。巣立つ前のヒナは、天敵の姿が見えていなくても、親鳥の鳴き声を聞き分けて、天敵に応じた行動をします。具体的には、『ピピピ』という鳴き声なら、巣穴の入り口から手やクチバシを入れてヒナをさらおうとするネコやカラスが迫っているので、届かないようにうずくまって静かにします。『ジャージャージャー』という鳴き声なら、巣穴に入ってきてしまうヘビが迫っているので、巣穴に入られる前に一斉に外へ逃げ出します。そういう本能が備わっているんです。人間の場合は、ことばとその意味を学習しないと、親のかけたことばを理解できません。だから、シジュウカラのことばは人間と違っていて、それは当然なんです。いまは、本能的な鳴き声の聞き分けから、どうやってイメージしたり、文法を獲得していくのかを研究しているところです」(鈴木さん)

 春から夏の繁殖期、そして秋から冬の群れをつくる時期を中心に、長野県の森にその都度3ヶ月ほど滞在して、鈴木さんは観察・研究をおこなっています。森に入っていない間も、データ分析や論文の執筆だけでも忙しいのに、最近ではさらにテレビやラジオ出演、講演会なども引き受けています。その理由は……。

「ことばがある動物は、シジュウカラだけではないかもしれません。でも動物を対象とした言語の研究に取り組む枠組みがなかったので、ぼくは『動物言語学』という枠組みをつくり、いま世界に向けて提唱しているところです。枠組みがあれば、いろんな動物にちゃんとしたことばがあるとわかる未来が来るかもしれないと思っています。

とはいえ、英語で論文を書いても、なかなか大勢のひとには読んでもらえません。次の学問をやってくれるのは、やっぱり若い世代ですから、とくに子どもたちに伝えなきゃいけないと思って、いろんなところで話したり書いたりしています」(鈴木さん)

 鈴木さんの新発見は、文献で勉強することと実際に観察することのくり返し、積み重ねから生まれたものでした。『僕には鳥の言葉がわかる』を読むと、鈴木さんがどのような仮説と検証を行ってきたのかがわかると同時に、学び、考え、そして新しい世界を知るたのしさを味わうことができます。



「子どもの本の学校」 35期 鈴木さん

鈴木さんの講演会は、参加希望の方が多く、早い段階でキャンセル待ち状態に……。そこで会場を移し、100名まで参加いただけるようにしました。当日の会場は、クレヨンハウス東京店のご近所さんである「東美教会」さん。
「いろんなところで講演させてもらってきましたが、教会で講演させていただくというのは初めてです」(鈴木さん)

講演で紹介された本の一部をご紹介

「やっぱり子どもたちに読んでほしいので、いま、ふりがな版をつくっているところです。海外翻訳のオファーもたくさんもらっています。日本起点の学問かもしれないけれど、『僕には鳥の言葉がわかる』状態のひとがどんどん増えてくれたらうれしいなと思っています」(鈴木さん)

『僕には鳥の言葉がわかる』
鈴木俊貴/著 小学館/刊 1,870円(税込)
* ふりがな版の刊行などについては、出版社からのアナウンスを待ちましょう!

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特別サイン会&限定サインカードは、参加者だけの特典です

「子どもの本の学校」 35期 鈴木俊貴さん
「子どもの本の学校」 35期 鈴木俊貴さん

講演会終了後にはサイン会を開催。間近でお話ししながら直筆サインを入れていただける貴重な機会です!

オンライン視聴の方は、対象書籍ご購入で、描き下ろしの特別サインカードをプレゼント!

鈴木俊貴さんの講演会に参加されたお客さまの声をご紹介!

・鳥もヒトも同じ生物なのだから、感情もあり言葉もあるというのは自然なこと。ジャージャーという声に蛇の姿を探すシジュウカラの姿に「なるほど」。言葉として仲間に伝えている検証実験の過程の話に「なるほど」。 お先にどうぞのジェスチャーに「なるほど」。素敵な気づきの連続でした。(長野県・女性)

・冷静に仮説を立て、実証していく過程がとても興味深かったです。 ひとの言うことを疑って、自分の感じたことを信じる大切さも教えていただきました。 すでに成人していますが、自分の子どもにも私なりに伝えました。 いまは独身ですが、いずれ親か叔母になるかもしれないので、次の世代に伝えて欲しいと思っています。たくさんの育児中の親子さん、お子さんに聞いて欲しいお話だなとつくづく思いました。(兵庫県・女性)

・”「勉強」とは、これまで分かっている世界について知ることであり、「研究」とは、誰も知らない世界を解き明かすこと。その二つは全く異なるけれども両方ともに「面白い」”と最後に話されたことは、学問の世界だけでなく、最終的にはどのような職業(仕事)にも通じることなんだと実感しました。(千葉県・男性)

・あっという間の90分で、興味深く楽しい講演会でした。配信での参加は初めてでしたが何の問題もありませんでした。ありがとうございます。(群馬県・女性)




[月刊クーヨン]26年7月号にも、講演記事を掲載!

クレヨンハウスの育児雑誌[月刊クーヨン]にも、講演記事を掲載しています。 鈴木俊貴さんの記事は、2026年7月号(6/3発売)に掲載!ぜひお読みくださいませ。

過去のレポート記事もご覧ください

過去の講演会のレポート記事を公開しています。「都合が合わず参加できなかった」「講演会の雰囲気や内容をちょっと見てみたい!」……という方は、ぜひチェックしてみてください!

  • 五味さん
    「タイトルはあとから決めよう」
  • 原田さん
    「子どもの本を訳す ─ 翻訳の裏側」
  • 大西さん
    「循環する手仕事を撮り続けて」
  • あずみ虫さん
    「アラスカ先住民と野生動物たち」
  • とよたかずひこさん
    「ちいさい人たちに届ける絵本創り」

「子どもの本の学校」35期も充実の講師陣です!

作家と読者を結ぶ講演会イベント、「子どもの本の学校」は、まだまだ続きます!
この出会いが、一生を変えるような忘れられない大切な一冊との出会いになるかもしれません。
どこまでも自由な絵本の世界の魅力を、もっともっと知ることができる講演会イベントです。
ご参加を、お待ちしております!




※本ページに表示されている商品価格等は講演会開催時点のものです。