マイロのスケッチブック

毎月第一日曜日、マイロは姉とふたり、地下鉄で、ある場所へ出かけます。
電車にはいろいろなひとが乗っています。マイロは、そんな人々がどんな暮らしをしているのか想像してスケッチするのが好きです。
ね、見て、真っ白なスニーカーを履いて髪をきちんと整えた男の子がいま、電車に乗ってきた。
マイロは想像します。この子はきっと王子様みたいな暮らしをしているんだろうな……と。

しかし、電車を降りて地上に出てみると、その男の子の行き先はマイロと同じ場所でした。
そこは刑務所。マイロのお母さんが入っていて、今日は月に一度の面会日なのです。
見かけだけではそのひとのすべてを知ることはできないのだ、とマイロは気づきます。

『おばあちゃんとバスにのって』でニューベリー賞、コルデコット賞、オナー賞を受賞した作家と画家のコンビによる作品。