アート絵本

なんてったって、人生で大好きな一本の木に
出会えたひとは幸せだ。その木を思うだけで
気持ちのいい風の通り道が心にできる。
それ以上の、幸せってあるかい？ （Ｋ.Ｏ）

ひとりでひとつをつくりあげるのもいいけれど、
みんなでひとつをつくるのも、素晴らしいことだ。
105人が集まって、つくりあげたのは！ （Ｋ.Ｏ）

旅人は行く。森を街を。旅人が行くところには
そこで暮す人々の暮らしがある。どこかに行く旅人と、
どこにも行かない人々と。わたしたちも人生の旅人であり、
同時に日常に根をはる人。 （Ｋ.Ｏ）

親をしらないサケの子どもたちが川から海へ、だれに教わったわけでもないのに泳いでいく。
いくつもの出会いがあり、やがて、なつかしいにおいのする生まれた川にかえり、そこではじめて「親」をしり、あたらしいいのちが生まれ……。
造本作家・駒形克己さんによる、さまざまな青色が揺れる、美しいしかけ絵本。

とおくのそら　かぜが　くもを　はこんでくる
すこしのかぜに　えだごと　はっぱがゆれている……。
風が運んでくる感触や音、匂いまでも全身にすべてうけとめて。

駒形克己さんのしかけ絵本。
森のなかを、丘を、川を、風がはこんでいくのはどんな音？

あいうえおの本なのに、文字なし絵本？
いえいえ、もちろん文字はあるのですが、その文字を「絵」としてしっかりと見てほしい絵本なのです。
そして、その文字からはじまるものが、反対側のページとそのまわりに。
「日本の伝統的な形と、ことばを結びつけたかった」と安野さん。
『ABCの本』と合わせておたのしみください。

さあ、森林浴に出かけましょう。
ページをめくると、そこは深い森の中。
木々に囲まれた中で、すーっと深呼吸……なんともいえない、心地よいイメージが広がります。
でも、そんな森をじーっと見つめていると、木々の間や木肌などに、動物の姿が見えてきて……。
「あっ！ りすがいる！」「こっちにも！」と、見るたびに発見が。
森の中に隠れている動物の数はなんと１３０あまり。
絵探しに夢中になるうちに呼吸を止めてしまわないように、おたのしみください。

コンサートまであと1 週間なのに、楽団員たちがヴァカンスから戻ってきません。
困ったマエストロ（指揮者）は、楽団員たちから届いた手紙をたよりに、世界の町を探すことに。
アイスランドには大太鼓のミシェルが、東京にはヴァイオリンのジャンヌたち、その数なんと22 人！
それぞれの国の景色もたのしい、絵探し絵本です。

赤い風船がふわりと空を飛んで、リンゴになった。
リンゴは蝶々になって、蝶々は花になって……。
風船の変身が素敵に刺激的な絵本。グラフィック
アートの世界から絵本への、作者の素敵な越境。 （Ｋ.Ｏ）

トランプで勝敗ばかり気にしていると、わからない。手にした札を凝視すると、聞こえてくるよ、言い合いの声が。 「君たちは、さかさまだ」「君たちこそ、さかさまだ」。もう何百年も前から、兵隊たちが喧嘩ばかりしているトランプ王国の愉快な物語。 子どもの想像力を刺激します。

この絵本は字を覚える絵本ではなく、字を「感じ、楽しむ」絵本です。
筆で書かれた「書」のもつ生命力が、写真と言葉とともに、生き生きと感じられます。子どもたちは字と遊び、大人は改めて字の持つ力に気づかされる、ユニークな絵本！

イタリアの春は明るい太陽のもとに、いっせいに花が咲き乱れます。ローマ、ベニス、フィレンツェなど、古い歴史のある町と、名高い寺院、建物。そして、そこに生き、愛し、働くいとおしい市井の人びと。
また、「イエスの生涯」の物語をはじめとして、「ピノッキオ」、「シンデレラ」、「家なき子」など、画面のあちこちに描かれているしかけも見てください。
全画面を着色しなおし、巻末に作者自身の解説を付け加えた改訂版になりました。

世界中にブームを巻き起こし、絵本の新しいスタイルを確立した安野光雅さんの「旅の絵本」シリーズは、これまでに、中部ヨーロッパ編（『旅の絵本』）、イタリア編（『旅の絵本II』）、イギリス編（『旅の絵本III』）、アメリカ編（『旅の絵本IV』）の４冊が発行されています。
今回の５巻目、スペインの旅です。小舟でカタルーニャの漁村に着いた旅人は、馬を手に入れ、古くて広い国スペインをゆっくりと旅します。
大きな町々の賑わいや田舎の村ののどかなたたずまい、人々の暮らしぶり、遊び、お祭り、闘牛などスペインならではの風景が、繊細な筆致で克明に描かれています。　ドン・キホーテやカルメン、あるいはスペインゆかりの画家の作品など、遊び心いっぱいの隠し絵もたっぷり。見つけ出したときのうれしさは格別です。
旅する楽しさと発見する喜びがぎっしり詰まった待望の新刊。アメリカ、フランスでも同時に発売されます。

子どもたちが眠りについたあと、そっとはじまる「こびと」のサーカス。
じつはサーカスの絵本から抜け出したピエロや猛獣使いが、あちらの世界とこちらの世界を行ったり来たりの超魔術！？　このサーカス、目を閉じなければ見られない。さあ絵本を持って、早くおやすみ。
幼い子どもからおとなまでの読者をふしぎな世界へ誘う作者が、この絵本では、真夜中の机の上で小人たちが演じるふしぎなサーカス「地上最小のショウ」に読者を招待してくれます。

木々の緑の色につつまれた田園から、古い町並みまで、精密で華麗な画面がくり広げられます。牧草地に羊を追い、ロンドン橋を渡り、ビッグベンの鐘の音を聞き、宮殿に女王を訪ね、ロイヤル・ウェディングに立ち会い、スコッチを飲んで、シェークスピアを楽しみ、テムズ川のほとりを散策する英国版。
「ピーター・パン」や「不思議の国のアリス」、ビートルズやネッシーにも会えます。

サンフランシスコに上陸した旅人は、大陸を横断し、アメリカ建国の歴史を逆にたどって東海岸へと向かいます。
そこには「大草原の小さな家」や、「オズの魔法使い」、「トム・ソーヤー」、ライト兄弟、「風と共に去りぬ」に「スーパーマン」など、ヒロイン、ヒーローがいっぱいいます。
セントラルパークでは18人の映画スターと27ひきの隠し絵の動物たちも待っています。
誰だか、わかるかな？

「旅の絵本」シリーズ、初のアジアを舞台にした七巻目は、中国編です。
桂林や敦煌などの有名な町に、兵馬俑発掘現場や万里の長城など名所もいっぱい……。
その雄大な舞台の中に、お祭り・結婚・葬式という、中国の人々の日常がしっかり描きこまれています。
風習には違いがあっても、暮らす人々の思いは共通するものがあります。