【講演会レポート】ヨンナ・ビョルンシェーナさん(絵本作家)/子どもの本の学校 35期

「子どもの本の学校」 35期 ヨンナ・ビョルンシェーナさん

1991年5月よりスタートした、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」連続講座は、2025年で35期を迎えました。子どもの本の専門店として、作家と読者が出会う場所をつくりたいとの思いが出発点。“子ども”をキーワードに、子どもについて、子どもの本について、子どもをとりまく大人の世界について、ご一緒に楽しみながら考えていきたいと思います。



2026年6月の講師は、ヨンナ・ビョルンシェーナさん

ヨンナ・ビョルンシェーナさん(Jonna Bjornstjerna)は……
スウェーデン・エースキルストゥーナ出身、イギリス・ブリストル在住。マルメのコミックスクールで漫画制作を学んだ後、イギリス・ロンドンの芸術大学セントマーチンに入学。ロマンチックでちょっと不気味、かつユーモアのある絵で描いた作品が、子どもたちのこころをつかんでいる。デビュー作『おばけのめをみて おとうとうさぎ!』から続く「おとうとうさぎ」シリーズ(スウェーデン語ではFamiljen Kanin、英語ではThe Rabbit Family)は、10作すべてがクレヨンハウスから翻訳出版されている。『おばけのめをみて おとうとうさぎ!』がスウェーデンの子どもたちが選ぶ本の人気投票「BOKJURYN2007」0~6歳部門でベスト1に、『ひみつのおかしだ おとうとうさぎ!』も「BOKJURYN2010」でベスト1に選ばれた。

講演会タイトル「The Rabbit Family: Origins and Background」

故郷のスウェーデン語はもちろん、英語も得意なヨンナ・ビョルンシェーナさん。イギリス・ブリストルのアトリエとつないだオンラインでの講演では、英語でお話しいただきました。

「わたしの名前はヨンナ・ビョルンシェーナです。名字の発音が難しくても心配しないでください。みんな、うまく発音できませんから。スウェーデンの古い家系の名前で、『熊の星』という意味があり、星座の『おおぐま座』に由来しています。この名前の良いところは、世界中で『ヨンナ・ビョルンシェーナ』という名前は、わたしひとりしかいないということです。わたしはスウェーデンで生まれ育ちました。ちいさいころから絵を描くのが大好きでしたし、絵を描いていないときは、外であそんでいました。わたしはスウェーデン北部で育ち、大きな森のすぐそばに住んでいたんです。その森こそが、『おとうとうさぎ』シリーズに出てくる『おとぎのもり』のインスピレーション源になっています。でも『おとぎのもり』が、自分が子どものころに住んでいた森そのものだったと気づいたのは、ずっと後になってからでしたが。成長して、自分で本を読めるようになったのは、本当にすばらしいことでした。世界が一気に広がったようで、最高の気分でした。わたしにとって本は、魔法のような存在。読み書きを覚えたあの日からずっと、その魔法を追い求め、あるいは自分なりに再現しようとしてきたからこそ、いま、わたしは作家になっているのだと思います」(ヨンナさん)

もっと絵を描きたいと、コミックアートスクールに通うことにしたヨンナさん。オリジナル作品を仕上げるという課題をきっかけに描き上げたのが、デビュー作となった「Sagan om den underbara familjen Kanin och monstret i skogen」(日本では『おばけのめをみて おとうとうさぎ!』)でした。絵本はスウェーデンの子どもたちから絶大な支持を受け、20年以上描き続けているシリーズとなっています。

「よく聞かれる、すこし難しい質問があります。『なぜ物語がこんなに怖いのか?』『なぜ子どもを怖がらせるのか?』と。わたし自身は子どもを怖がらせたいわけではありません。ただ、たしかに3作目まで(『おばけのめをみて……』『まじょにはクッキー……』『ひみつのおかしだ……』)は、読者のことを意識せず、ただ、自分がたのしいと思える絵を描いて、物語をつくっていました。わたしが、モンスターや怖い話が大好きで、絵を描くのも好きだから、怖い絵本になったというだけです。いま、わたしは読者のことや自分の子どもたちのことを考えるようになり、どんなテーマをどんなふうに描くかを考えるようになりました。でも面白いことに、いまでもファンレターが多いのは、3作目までなんです。
子どもたち一人ひとりを『ちいさな人間』として考えることは、本当に重要だと思います。子どもにも、わたしたち大人と同じように、それぞれ個性があります。怖いものが好きな子もいれば、そうでない子もいます。結果として、わたしの絵本が『怖い話が好きでたのしめる子どもたち』に受け取ってもらえたのは、幸運なことでした。同時に絵本や童話は、多くは最初に大人が子どもに読むというのが、いいところだと思います。その子がよろこんでいれば怖く、あまりに怖がっているようなたのしく読んだりと、その子に合わせて読み方を変えてくれるからです。だからわたしは、すこし怖い絵本になったとしても、あまり心配していません。子どもたちのそばには、いつも見守ってくれる大人がいると思うからです」(ヨンナさん)

ちょっと怖くて面白い部分は共通していますが、テーマやモチーフは巻ごとに違っているのが、「おとうとうさぎ」シリーズの魅力でもあります。たとえば、『まじょにはクッキー……』はグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」から影響を受けています。『おばけでんしゃだ……』はホラー作品、『うちゅうじんだぞ……』はSF作品へのオマージュが入っているのは、ヨンナさんがさまざまな作品をたのしんできた証拠です。日本の影響も大きいようで……。

「『おばけのめをみて……』で、おばけがお風呂に入るシーンがあるのは、スタジオジブリの『千と千尋の神隠し』から大きな影響を受けています。『うんがよくなりますように……』に出てくるやくびょうおじさんは、新宿で細長いビルを見て、この家にはどんなひとが住んでいるんだろうと考えたことから生まれました。だから、やくびょうおじさんは、着物をイメージしたガウンを着ていて、足元も日本風のサンダルを履いています。わたしはこれまで3回、日本に行き東京を訪れているのですが、どの滞在も、本当に素晴らしい時間を過ごしました。次に日本へ行ったら、最初にまっすぐクレヨンハウスへ向かいます!」(ヨンナさん)

以前、ヨンナさんをお迎えしたとき、クレヨンハウスは表参道にありました。今度は吉祥寺でヨンナさんにお会いできること、たのしみにしています!



このひとが「やくびょうおじさん」。
たしかに着物みたいなガウンを着て、ぞうりみたいなサンダルを履いています!

「子どもの本の学校」 35期 ヨンナ・ビョルンシェーナさん
「子どもの本の学校」 35期 ヨンナ・ビョルンシェーナさん

モンスターなどがお好きで詳しいヨンナさんに、子どもの本売り場からはおすすめの妖怪やおばけの本をご紹介。『水木しげる 妖怪大百科』(水木しげる/作 小学館クリエイティブ/編 小学館)をお見せすると、身を乗り出して興味を示してくれました。「妖怪からも大きなインスピレーションを受けています。日本では、あらゆるものが妖怪になるんですよね! 本当に素晴らしい!」(ヨンナさん)

特別サイン会&限定サインカードは、参加者だけの特典です

「子どもの本の学校」 35期 ヨンナ・ビョルンシェーナさん
「子どもの本の学校」 35期 ヨンナ・ビョルンシェーナさん

オンライン開催の場合、サイン会の開催はできませんが……
もちろんサインカードは描いていただきました!

対象書籍ご購入で、描き下ろしの限定サインカードをプレゼント!

ヨンナ・ビョルンシェーナさんの講演会に参加されたお客さまの声をご紹介!

・おとうとうさぎのシリーズ絵本、新刊を幼稚園の子どもたちと楽しみにしています。大ファンの先生がいて、シリーズ全巻をクラスの絵本棚に抱え込んでいます。これからも作品を作り続けてください。(オンライン参加/東京都)

・作品一つひとつに込められた想いや工夫、制作過程を細かく丁寧に情熱を込めてお話くださり、とても興味深くたのしい時間となりました。(オンライン参加/東京都)

・ヨンナさんがちいさかった頃のお話を伺っている時、おとうとうさぎに描かれている森の情景が頭に浮かんできました。いつか家族でスウェーデンの森を訪れて、森の空気を思いきり胸に吸い込みたいなと思いました。これからも、おとうとうさぎのお話を家族で読むのをたのしみにしています!(オンライン参加/神奈川県)

[月刊クーヨン]26年9月号にも、講演記事を掲載!

クレヨンハウスの育児雑誌[月刊クーヨン]にも、講演記事を掲載しています。 ヨンナ・ビョルンシェーナさんの記事は、2026年9月号(8/3発売)に掲載!ぜひお読みくださいませ。

過去のレポート記事もご覧ください

過去の講演会のレポート記事を公開しています。「都合が合わず参加できなかった」「講演会の雰囲気や内容をちょっと見てみたい!」……という方は、ぜひチェックしてみてください!

  • 岩瀬さん
    「子どもの本とわたし」
  • 鈴木さん
    「僕には鳥の言葉がわかる」
  • 五味さん
    「タイトルはあとから決めよう」
  • 原田さん
    「子どもの本を訳す ─ 翻訳の裏側」
  • 大西さん
    「循環する手仕事を撮り続けて」
  • あずみ虫さん
    「アラスカ先住民と野生動物たち」
  • とよたかずひこさん
    「ちいさい人たちに届ける絵本創り」

「子どもの本の学校」35期も充実の講師陣です!

作家と読者を結ぶ講演会イベント、「子どもの本の学校」は、まだまだ続きます!
この出会いが、一生を変えるような忘れられない大切な一冊との出会いになるかもしれません。
どこまでも自由な絵本の世界の魅力を、もっともっと知ることができる講演会イベントです。
ご参加を、お待ちしております!




※本ページに表示されている商品価格等は講演会開催時点のものです。