【講演会レポート】長谷川義史さん(絵本作家)/子どもの本の学校 35期

「子どもの本の学校」 35期 長谷川義史さん

1991年5月よりスタートした、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」連続講座は、2025年で35期を迎えました。子どもの本の専門店として、作家と読者が出会う場所をつくりたいとの思いが出発点。“子ども”をキーワードに、子どもについて、子どもの本について、子どもをとりまく大人の世界について、ご一緒に楽しみながら考えていきたいと思います。



2026年7月の講師は、長谷川義史さん

長谷川義史(はせがわ・よしふみ)さんは……
大阪府出身・在住。『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』(BL出版)で絵本作家デビュー。『いいからいいから』(絵本館)など、ユーモラスでおおらかな絵本が大人から子どもまで大人気。社会派なテーマにも意欲的に取り組んでいる。お連れ合いの絵本作家・あおきひろえさんとの絵本に『シバ犬のチャイ』(BL出版)、『おいせまいりわんころう』(ブロンズ新社)がある。『どこいったん』(ジョン・クラッセン/作 クレヨンハウス)で翻訳者としても一躍有名になり、『あめだま』(ペク・ヒナ/作 ブロンズ新社)などの翻訳も手掛けている。第2回やなせたかし文化賞を受賞。

講演会タイトル「絵本で心が楽しくなりますように」

ユーモアあふれる絵本とともに、平和や平等について伝える絵本も数多く描いてきた長谷川義史さん。「ぼくは表現する立場だから、『平和のほうがええんやで』って表現して、伝えていかないといけない」と言います。

「戦争をしようとするのは、想像力がないひとたちだと思うんですよね。でないと、子どもが無差別に犠牲になるようなことをしようとするはずがない。しかも、戦争しようとする権力者は、自分で手を汚さないんです。ほかのひとにやらすわけです。顔の見える権力者の後ろには、顔も出さない大人もいて、もっと恐ろしいです。いま世界でつらい思いをしているひとがいないか考えましょうという思いで、2007年に『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)を描きました」(長谷川さん)

 とくに平和の絵本を描くとき、「どう描けばいいのか」「本当に自分が描いていいのか」と悩み、苦労を重ねるのだと言う長谷川さん。描くべき絵を求めて、2014年の『へいわってすてきだね』(安里有生/詩 ブロンズ新社)では沖縄へ、2025年の『朗読詩 ひろしまの子』(四國五郎/詩 BL出版)では広島へ足を運びました。

「『朗読詩 ひろしまの子』は、四國五郎さんの『ひろしまの子』という詩を、友人であるミュージシャンの趙博(チョウ・バク)さんが、ぼくが以前描いた反戦の絵に『ぴったりやで』とおしえてくれたことがきっかけでした。そのときはじめて読んで、絵本にできるなと思ったんです。思ってしまったんです。むちゃくちゃ大変な仕事になることはわかっていて、でも子どもたちのためにいま描かなあかんとも思って。『へいわってすてきだね』でもかなり苦労したのに、もっと苦労すると思いました。でも『へいわってすてきだね』が描けたんだから、なんとかがんばれると。五郎さんはもう亡くなられていたので、息子さんである光さんに相談して、絵本づくりをはじめました。
 自分で描くって言い出したんですけども、ぼくは大阪の人間だし、亡くなった広島の子どもたちのことを知らないので、本当に描けるのか、描いていいのかと怖くなりました。そうしたら光さんが『父も原爆が投下されたときはシベリアで、その当時のことは知らずに書いていたんです』『亡くなったひとはもう表現できないし、いまはもう、知らない者が表現しなければならないときなんです』と、ものすごく優しく背中を押してくれました。そうやなあと思って、でもすぐには描けずに何回も広島に通って、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島県広島市)に残された記録から、ようやく描くべき子どもたちに出会うことができました」(長谷川さん)

 絵本を通じて、子どもたちと「平和がいい」「戦争したくない」という思いを分かち合ったら、平和を守るために動くべきは、まず、わたしたち大人です。 



「子どもの本の学校」 35期 長谷川さん

講演会の最後に「グーチョキパーのうた」をうたってくれた長谷川さん。同名絵本にもなっているこの曲をつくったのも、長谷川さんに『朗読詩 ひろしまの子』を描くきっかけをくれた趙博さんです。
* 今回も、後ろに見えるライブペインティングの絵を、特別サインカードとしてお届けしました!

2014年にクラッセンさんが来日された際、長谷川さんとクレヨンハウス東京店(当時は表参道)で対談いただきました。
「クラッセンさんは、ことばと絵のバランスが絶妙なんですね。いらん表現はされてないんですよ。絵で表現できるところは、もう言わない。リンドグレーン文学賞を選ぶひとも、いいところ、目をつけはるなあと思って」(長谷川さん)

クラッセンさん作・長谷川さん訳の「ぼうし」シリーズほかは、こちらのページからチェック!

「子どもの本の学校」 35期 長谷川さん

特別サイン会&限定サインカードは、参加者だけの特典です

「子どもの本の学校」 35期 長谷川義史さん

講演会終了後にはサイン会を開催。
間近でお話ししながら直筆サインを入れていただける貴重な機会です!

「子どもの本の学校」 35期 長谷川義史さん

オンライン視聴の方は、対象書籍ご購入で、描き下ろしの特別サインカードをプレゼント!

長谷川義史さんの講演会に参加されたお客さまの声をご紹介!

・たのしいお話の中にも、長谷川義史さんの平和への思いを強く感じました。私たち大人が子どもたちの未来のために、何をしなくてはならないか、考えさせられました。長谷川義史さん素敵です。(静岡県/オンライン参加)

・今年は保育士をしている友人と参加しました。友人が帰りながら「なかなか戦争について考えたこと、聞いたことがなかったけれど、子どもに伝える良いきっかけになった」と話していました。この平和な日本で、一人でも多くの人に事実を話し、伝えていくのが自分たちにできることかな、と感じました。(東京都/会場参加)

・平和への願い、子どもたちの純粋なこころに真摯に向き合う作品作りのお話、気どらないお人柄に、とても嬉しい気持ちになるひとときでした。子どもたちのためにも、平和を守る大人の責任について改めて考える時間でもありました。貴重なお話をありがとうございました。(東京都/オンライン参加)

[月刊クーヨン]26年10月号にも、講演記事を掲載!

クレヨンハウスの育児雑誌[月刊クーヨン]にも、講演記事を掲載しています。 長谷川義史さんの記事は、2026年10月号(9/3発売)に掲載!ぜひお読みくださいませ。

過去のレポート記事もご覧ください

過去の講演会のレポート記事を公開しています。「都合が合わず参加できなかった」「講演会の雰囲気や内容をちょっと見てみたい!」……という方は、ぜひチェックしてみてください!

  • ヨンナさん
    「The Rabbit Family: Origins and Background」
  • 岩瀬さん
    「子どもの本とわたし」
  • 鈴木さん
    「僕には鳥の言葉がわかる」
  • 五味さん
    「タイトルはあとから決めよう」
  • 原田さん
    「子どもの本を訳す ─ 翻訳の裏側」
  • 大西さん
    「循環する手仕事を撮り続けて」
  • あずみ虫さん
    「アラスカ先住民と野生動物たち」
  • とよたかずひこさん
    「ちいさい人たちに届ける絵本創り」

「子どもの本の学校」35期も充実の講師陣です!

作家と読者を結ぶ講演会イベント、「子どもの本の学校」は、まだまだ続きます!
この出会いが、一生を変えるような忘れられない大切な一冊との出会いになるかもしれません。
どこまでも自由な絵本の世界の魅力を、もっともっと知ることができる講演会イベントです。
ご参加を、お待ちしております!




※本ページに表示されている商品価格等は講演会開催時点のものです。