谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本シリーズ」

2003年からはじまった「あかちゃんから絵本」シリーズ。
谷川俊太郎さんが現代を代表するアーティストと組んで、 詩から生まれた絵本、絵から生まれた絵本。
ことばと絵のたのしさで、あかちゃんをとりこにしています。

最新1 6 作目、樋勝朋巳さんとの初共作!
谷川俊太郎さんの「あかちゃんから絵本」シリーズ

ふたつの世界、ふたりのおはなし。
異空間を行ったり来たりの浮遊感をあかちゃんと一緒にたのしんでください。


「 ぼく」がいるのは「こっち」。「ともだち」がいるのは「あっち」。あっちからともだちがやってくると、たのしいけれど、けんかになることも。すると、ともだちは帰ってしまう。今度はぼくが「あっち」に行くことに……。

作者のおふたりにコメントをもらいました!



谷川俊太郎さん(詩人)
樋勝朋巳さん(銅版画家、絵本作家)
「こっちとあっち」で往復書簡 

谷川俊太郎さんと樋勝朋巳さんは、 タイトル『こっちとあっち』のごとく、 向き合っての打ち合わせはせずに、 原稿をキャッチボール。絵本ができあがって、 はじめてお便りを交わされました。 おふたりのやりとりを、そっとご紹介します。

[月刊クーヨン]2023年4月号掲載


樋勝朋巳さん
樋勝さん

谷川俊太郎 様

初めまして。樋勝朋巳と申します。
このたびは絵本作りをご一緒させていただきましたこと、心より感謝申し上げます。
本のお話をいただいた頃、家の庭に2匹の野良猫がやって来るようになりました。
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谷川俊太郎さん
谷川さん

樋勝朋巳 様

うちの庭にも野良猫が来ていたのですが、残念ながら近頃現れなくなりました。ぼくが詩の材料にしなくなったからでしょうか。樋勝さんが猫を登場させてくれたので、
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樋勝朋巳さん
樋勝さん

谷川俊太郎 様

お返事をいただきまして誠にありがとうございます。
谷川さん、おみやげを苦手なタコにしてしまってごめんなさい。
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谷川俊太郎さん
谷川さん

樋勝朋巳 様

私は何故か昔から銅版画が好きで、1957年に出した最初のエッセー集『愛のパンセ』ですでに浜口陽三さんと南桂子さんの作品を2点掲載させてもらいました。
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谷川さんからのお返事を読んで、樋勝さんは谷川さんに猫の舌型チョコレートをプレゼント。「絵本を作れることに感謝し、自分の思う美しさを大切にしていきたいと思います」というお便りとともに……。

谷川俊太郎さんインタビュー
「あかちゃんから絵本」は「声」のスキンシップ!

あかちゃんに、もっと絵本と出会ってほしいなあ……とクレヨンハウスはずっと思ってきました。
そして、あかちゃんが本当に好きなものは、大人にとってもたのしいものであるはずだから、
「あかちゃん絵本」ならぬ「あかちゃんから絵本」をつくりたい!
そう思って相談したのが、この方、谷川俊太郎さんです。
この機会に、あかちゃんから絵本のこと、谷川俊太郎さんにお伺いしました。




「あかちゃん絵本」を書くのは難しいんですよ! 幼児の頃までなら、なんとなく自分の記憶がありますよね。でも、あかちゃんの頃まではなかなかさかのぼることができない。「あかちゃん絵本」というと、ものの名前をおしえるようなものがよくありますが、あれはことばを覚える年頃のための絵本だと思います。大人というのはこのへん止まりで、そこから先にはなかなか戻れないということでしょうね。あとは「しつけ」っぽかったり……そういったものはぜんぶ大人の立場、あかちゃんの立場で書かれたものではないですよね。
 そうでないものをつくるとなると、あかちゃんがいったい何を望んでいるのか、どういった感覚でいるのかを、考えることになるのですが、それはやっぱり自分の意識の下のほうを探っていって、そこから発想するしかないだろうなと思います。

  • あかちゃんをあやすような
    意味を超えたことばで

     絵本のことばというのは「文字」になっていますが、あかちゃんの絵本の場合は、本当は、文字ではなく声や音であるべきだと思います。あかちゃんは、まだ文字をもっていないわけですから。そして、その「声」に合うのは、日常で使っている意味伝達のことばではなくて、おかあさんがあかちゃんをあやすような、意味を超えた愛情のかたちとしてのことばがいいとぼくは思っています。そういう声のもっているやわらかさやあたたかさが、あかちゃんにとってはすごく大事だと思うので、絵本をつくるときにも、そういうスキンシップ的な「声」をもったことばにしたいと思っています。

  • まり

 あかちゃんは文字を読めないわけですから、だれかがかならずテキスト(文章)を声にしますよね。そこが、ほかの絵本とくらべて、「あかちゃん絵本」の格段に大切なところだと思います。テキストは、読み手であるおかあさんなど年長のひとたちの想像力を刺激するようなことばだといいと思いますね。『もこ もこもこ』(文研出版)にしても、べつにあのことばじゃなくてもいいんです。絵を見ながら、もっと違うことばが出てくればそれでいいんですよ。  あかちゃんの絵本に限らず、子どもの絵本は、年長者とちいさな子どもたちとのコミュニケーションのツール(道具)みたいなものだと思います。それを媒体にして、もっと広く深い関係に入るきっかけになるようなものがつくれたらいいですね。

  • 絵本
  • 教育なんていう
    スケベごころは捨てたほうがいい

    これから書く「あかちゃんから絵本」も、いま言ったようなことをなんとなくふまえてはいるわけだけれど、理屈を言うより先にとにかく何か具体的に書いてみようと。あかちゃんの喃語のような意味をなさないことばを発見しながら、そのときに、あかちゃんの実際の行動も視野に入れる必要があると思います。たとえば飲んだり食べたり排泄したりということは、あかちゃんにとってすごく大事なことだから、そういう感覚を捉えられるといいなと思います。あかちゃんに共感してもらえるベースがあって、さらに一歩新しい世界になるような絵本をつくりたいですね。

  本って、なんとなく大事にとっておくものだと思いがちだけれど、「あかちゃん絵本」に関しては、食べものと同じように考えたほうがいいと思うんですね。破ったりなめたりしてもいい消費財として考えたほうがいい。食べたみたらおいしかった、みたいな本ができたら最高ですよね。
 あかちゃんと絵本を読む大人は、教育なんていうスケベごころは捨てたほうがいい。あかちゃんというのは、生きていくことがおもしろくてたまらない存在です。一緒にいると大人も、失ってしまった「生きるよろこび」を回復できる……そんな気持ちで一緒に読んでほしいですね。

[月刊クーヨン]2002年4月号より

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