グリーフケアとは?
喪失体験に伴う悲しみや傷つき、といった感情を「グリーフ」と言います。
大切な存在を失った悲しみや喪失感は、外からは見えにくく、それゆえケアしにくいもの。
そうした悲しみの中にあるひとに寄り添い、援助することを「グリーフケア」と言います。
悲しむことを恐れないで
クレヨンハウス 45周年を記念して2021年に出版された絵本『悲しみのゴリラ』は、母親を亡くした男の子のもとにゴリラが現れ、誰にも言えない悲しみを丸ごと大きな腕で抱きしめてくれる物語です。
悲しみのゴリラ
ジャッキー・アズーア・クレイマー/文 シンディ・ダービー/絵
落合恵子/訳 クレヨンハウス /刊
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あらすじ
母親を失った男の子は、現れたゴリラに「ママはどこにいったの?」「いつになったら悲しくなくなるの?」と問いかけ、ゴリラは一つひとつていねいに答えていきます。
励ましやなぐさめではなく、ただ男の子に寄り添うゴリラの姿を通して、グリーフケアの本質が静かに描き出されます。 -
著者からのメッセージ
「わたしは、いつだって子どもというのは『理解され、受け入れられ、愛されるべき』存在だし、そうあるべきだと信じています。とくに、こころの痛みを感じているときはなおさらです。子どもたちのまわりには希望と愛がなければなりません」
([月刊クーヨン]2021年3月号 ジャッキー・アズーア・クレイマーさんのメッセージより)
「喪によって、人が発見するのは絆」(本書/あとがきより)
詩人・長田弘さんが、パートナーの死を想い、生み出した詩、2編。
長田さんを励まし続けたというクリムトの絵とともに進む、死者のいるその場所とのことばの往還は、さざ波のようにこころのなかに安堵を広げます。
詩ふたつ
長田弘/詩 グスタフ・クリムト/画
クレヨンハウス /刊
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内容紹介
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どこにもいない?
違うと、なくなった人は言う。
どこにもいないのではない。
どこにもゆかないのだ。
いつも、ここにいる。
歩くことは、しなくなった。
---本書より---
もうここには姿がない大切なひととの間にも、たしかに感じられる絆がある。そのまぎれもない体験を、詩画集のかたちで、長田弘さんが遺してくれました。 -
本書/帯より
「すべての、それぞれの愛するひとを見送ったひとに」
落合恵子
母を見送った季節が、まもなくやってくる。
喪失の悲しみをいやすことはできないし、 その必要もないと考えるわたしがいる。なぜならそれは、まるごとの、そのひとを愛したあかしであるのだから。
悲しみさえもいとおしい。けれども、どうしようもなく、こころが疼くとき、 長田弘さんの、この、ふたつの「絆」の詩を声にだして読む。
人生に余分なものは何ひとつない、と。
クレヨンハウスが選ぶ グリーフに寄り添う絵本
絵本の世界には、大切なひとの「死」や、大切なひととの「別れ」を主題とする作品が、たくさんあります。
同時に、いのちのつながりや、いのちの尊さに、改めて気づかせてくれる作品も。
絵本だからこそ伝わる思い。子どもとの読み聞かせの時間に、または束の間のひとりの時間に。
いま開きたい、グリーフに寄り添う絵本を集めました。
かぞくとの別れ 悲しみとの 向き合い方……
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おじいちゃんがおばけになったわけ
K・F・オーカソン/文 E・エリクソン/絵
菱木晃子/訳
あすなろ書房/刊
天国ってどこ?
そんな質問が出たら 一緒に読んであげて
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おじいちゃんのごくらくごくらく
西本鶏介/作 長谷川義史/絵
鈴木出版/刊
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このあとどうしちゃおう
ヨシタケシンスケ/作
ブロンズ新社/刊
いのちはめぐる。思い出はずっと生き続けます
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わすれられないおくりもの
スーザン・バーレイ/作 小川仁央/訳
評論社/刊
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いのちのふね
鈴木まもる/作
講談社/刊
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かぜはどこへいくの
シャーロット・ゾロトウ/文 ハワード・ノッツ/絵 まつおかきょうこ/訳
偕成社 -
すべてのわたしたちへの言葉の贈りもの。
この本に出会って、絵本が好きになった……。そうおっしゃる、かつての子どもがいます。
なんとうつくしく、平易なことばと、シンプルな絵で描かれた世界でしょう。おやすみ前のひととき、男の子はお母さんに次々に質問をします。
「どうして、ひるはおしまいになってしまうの」
「……おしまいになってしまうものは、なんにもないの。べつのばしょで、べつのかたちではじまるだけのことなのよ」
おかあさんは、変化する自然のおわりは、新しいはじまりでもあることをやさしく伝えます。 子どもも大人も、すべてのわたしたちへの言葉の贈りもの。
広がりのあることばの世界は、子どもと大人の時間もより豊かなものにしてくれます。 これは読まなきゃね、の一冊です。
泣きたい気持ち、悲しみ、いらだち…… どうしたら、希望と再会できるのか
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ひだまり
林木林/文 岡田千晶/絵
光村教育図書/刊
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悲しい本
マイケル・ローゼン/作 クェンティン・ブレイク/絵 谷川俊太郎/訳
あかね書房/刊
悲しみのその先に「はじまり」を感じられたら
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おだんごスープ
角野栄子/作 市川里美/絵
偕成社/刊
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Life(ライフ)
くすのきしげのり/作 松本春野/絵
瑞雲舎/刊 -
人は誰かとのかかわりの中で生きている
その町の外れに、「Life(ライフ)」という小さなお店があります。お店といっても、だれかが働いているわけでも、なにかを売っているわけでもありません。実に不思議なお店です。
冷たい風が吹いた日、一人のおばあさんが「ライフ」にやってきました。そうして、亡くなったおじいさんが愛してやまなかった花の種子を小さな袋に入れて、棚に置いていきました。次にこの「ライフ」にやってきたお客さまは……。
ひとつの空間、「ライフ」と、忘れずにめぐりくる季節を舞台に、そこに訪れ、しばらく滞在し、そして去っていく人々と、それぞれが持ってきたものと、新しく持ち帰るものとを描いた、人と人、モノとモノの「群像劇」とも言える美しく深い作品。
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スーホの白い馬
大塚勇三/再話 赤羽末吉/画
福音館書店/刊
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かないくん
谷川俊太郎/作 松本大洋/絵 糸井重里/企画・監修
ほぼ日/刊
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大切な存在を失い、悲嘆のどん底にいるひとに、絵本はなにが可能なのでしょうか。
悲嘆は、必ずしも通常言われているように、否認→怒り→取引→抑うつ→受容といったプロセスを辿るとは限りません。一冊の絵本の中にひそむ、微かな、そして緩やかな「回復への道」をいっしょに歩いてみませんか? ゆっくりと、ゆったりと、確かに。