【講演会レポート】荒井良二さん(絵本作家)/子どもの本の学校 35期

「子どもの本の学校」 35期 荒井良二さん

1991年5月よりスタートした、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」連続講座は、2025年で35期を迎えました。子どもの本の専門店として、作家と読者が出会う場所をつくりたいとの思いが出発点。“子ども”をキーワードに、子どもについて、子どもの本について、子どもをとりまく大人の世界について、ご一緒に楽しみながら考えていきたいと思います。



2026年9月の講師は、荒井良二さん

荒井良二(あらい・りょうじ)さんは……
山形県生まれ。『たいようオルガン』(偕成社)でJBBY賞を、『あさになったので まどをあけますよ』(偕成社)で産経児童出版文化賞・大賞を、『きょうはそらにまるいつき』(偕成社)で日本絵本賞大賞を受賞するほか、2005年には日本人として初めてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞するなど国内外で高い評価を得る。ほか絵画や立体作品の制作、作詞やアニメーションを手掛ける、芸術監督など、つねに活動の幅を広げている。おもな絵本に『はっぴぃさん』(偕成社)、『きょうというひ』(BL出版)、『こどもたちはまっている』(亜紀書房)、『はっぴーなっつ』(ブロンズ新社)、『ゆきのげきじょう』(小学館)など多数。現在「TOKYO CITY CANVAS」プロジェクトにて、旧「こどもの城」跡地の仮囲いに「はっぴぃさん Theater」が展開されている(記事内に別途詳細あり)。

講演会タイトル「鏡に映ったわたし以外のもの」

今回の講演会タイトルは「自分の絵のタイトルにちなんだものです」と、荒井良二さん。元は「鏡に映るわたし以外のもの」という絵(*)で、女の子が覗きこんでいる大きな鏡には、女の子自身の顔よりも、女の子の後ろに広がる世界が中心になって描かれています。

「じつはぼく、子どもの頃から鏡ってあんまり好きじゃなくて。だって鏡の前に立つと、映っているのは『また自分か』って思っちゃう(笑)。当たり前ですよね、用事があって自分を映すものなんだから。でも、自分が映らない状態で鏡に映るものを見るのは、好きでした。床に置いて、天井を映すとか。洗面所の鏡を角度をつけて覗いて、窓の向こうの空なんか見えるとうれしい。
たしかに鏡は自分の姿を見るために使うけれど、それ以外のものだって映っているわけです。だけど、自分の姿以外は見てないだけ。そういうのって、いまの世の中にもあるんじゃないかな。見たいと思っているものばかり見て、後ろや周りが見えていない、見ていないという状況。ぼくは『鏡で自分以外のものを見る』という視点が、結構気に入っています。鏡に映った自分以外のもの、つまり『世界』はぼくなしでも存在し続けていて、そのことがすごく好きだし、とても大事だと思うんです。
『鏡に映るわたし以外のもの』という絵では、女の子が振り返らないと見えない世界を、鏡に映して描きました。絵の中には女の子に向かって歩いてくる男の子も描いたけれど、その後ふたりがどうなるのかは、描いているぼくにもわからない。でも、女の子が振り向けば、たしかにそこに世界があるよと言いたくて描きました」(荒井さん)

そこにある「世界」を掘り下げる問いかけのひとつが、荒井さんが詩人の最果タヒさんとつくった絵本『うつくしいってなに?』(小学館)にちなんだ「うつくしいってなに?」です。

「『うつくしいってなに?』って聞いたら、みんな何を答えるんだろうと思って。実際に園児や小学生たちに聞いてもらったら、『ダイヤモンド』『にじ』『星』なんかが多かったです。たぶん、先生たちが美しい=きれいと言い換えて、まずは目に見えるものから考えたんだと思います。だんだん問いかけを重ねていくと、目に見えないものが出てくるようになります。『親切』とか『愛』とか。
答えは、日々変わっていいんです。それよりも、ことあるごとに自分に問いかけてほしい。自分がいま、何を美しいと感じているのかを問いかけていくことが大事だと思っています」(荒井さん)

講演会当日は、会場のお客さんにも「うつくしいってなに?」を答えてもらいました。景色だったり、形のない思いだったり、大事なひとだったり。鏡で自分を見つめているだけでは見つからない美しさが、わたしたちの周りに広がる世界にはあります。


* 「鏡に映るわたし以外のもの」は、荒井さんのインスタグラム(2026年8月9日の投稿)で見ることができます!
https://www.instagram.com/newborn.arairyoji/







  • 『ルフランルフラン』『ルフランルフラン 本のあいだのくにへ』 『ルフランルフラン』『ルフランルフラン 本のあいだのくにへ』
  • 「ながらく絶版で『幻の本』と言われていましたが、今度、偕成社さんから出ることになりました。つくるにあたって、絵を描き加えたりしています」(荒井さん)

    『ルフランルフラン』
    荒井良二/作 偕成社/刊 1,760円(税込)

    『ルフランルフラン 本のあいだのくにへ』
    荒井良二/作 偕成社/刊 1,757円(税込)

    * 2026年11月16日発売予定となります。

特別サイン会&限定サインカードは、参加者だけの特典です

「子どもの本の学校」 35期 荒井良二さん

講演会終了後にはサイン会を開催。
間近でお話ししながら直筆サインを入れていただける貴重な機会です!

「子どもの本の学校」 35期 荒井良二さん

オンライン視聴の方は、対象書籍ご購入で、描き下ろしの特別サインカードをプレゼント!

荒井良二さんの講演会に参加されたお客さまの声をご紹介!

・絵本をつくる際に大事にされていること、目に見えないものに対しても丁寧に向き合っておられる姿勢そのものに、嬉しくなりました。色使いや絵はもともと大好きですが、気どらず、まっすぐなお人柄も素敵だなと思いました。貴重なお話をありがとうございました。(東京都/オンライン参加)

・ずっと子どもの心を忘れず、たくさんの絵本で、美しいものに気づかせてくれます。絵本屋さんに通われていたこと、外国の絵本を読まれていたこと、荒井さんの作品はいつもどこの国の物語だろうと想像が広かっていたのは、そこから来ているのだと気付かされました。(大阪府/オンライン参加)

・「うつくしいってなに?」という問いが印象的でした。自分にとっての、「美しさ」とは? そんなことを考えて世界を見てみると、今まで見えていなかったものが見えてきて、ものの見方や考え方が変わるような講演会でした。(東京都/会場参加)

[月刊クーヨン]26年12月号にも、講演記事を掲載!

クレヨンハウスの育児雑誌[月刊クーヨン]にも、講演記事を掲載しています。 荒井良二さんの記事は、2026年12月号(11/2発売)に掲載!ぜひお読みくださいませ。

過去のレポート記事もご覧ください

過去の講演会のレポート記事を公開しています。「都合が合わず参加できなかった」「講演会の雰囲気や内容をちょっと見てみたい!」……という方は、ぜひチェックしてみてください!

  • ザ・キャビンカンパニーさん
    「わたしたちと絵本」
  • 長谷川さん
    「絵本で心が楽しくなりますように」
  • ヨンナさん
    「The Rabbit Family: Origins and Background」
  • 岩瀬さん
    「子どもの本とわたし」
  • 鈴木さん
    「僕には鳥の言葉がわかる」
  • 五味さん
    「タイトルはあとから決めよう」
  • 原田さん
    「子どもの本を訳す ─ 翻訳の裏側」
  • 大西さん
    「循環する手仕事を撮り続けて」
  • あずみ虫さん
    「アラスカ先住民と野生動物たち」
  • とよたかずひこさん
    「ちいさい人たちに届ける絵本創り」

「子どもの本の学校」35期も充実の講師陣です!

作家と読者を結ぶ講演会イベント、「子どもの本の学校」は、まだまだ続きます!
この出会いが、一生を変えるような忘れられない大切な一冊との出会いになるかもしれません。
どこまでも自由な絵本の世界の魅力を、もっともっと知ることができる講演会イベントです。
ご参加を、お待ちしております!




※本ページに表示されている商品価格等は講演会開催時点のものです。